コンピュータ化システムバリデーション(CSV)について
コンピュータ化システムバリデーション(CSV)について
■ CSV (Computerized System Validation)とは
厚生労働省CSVガイドラインでは,医薬品等の品質確保のために,コンピュータ化システムバリデーション実施を要求しており,分析データ解析のためのPCや,マイクロコンピュータ等を内蔵した分析装置のみならず,それらを運用する組織,設備等もCSVガイドラインの適用を受けます。詳細な対象・内容(レベル)は,妥当性や正当性を考慮して各企業での判断が必要ですが,その指針としてPIC/SのGMPガイドラインがあります。
■ GAMP:CSV実践のために
ISPE(国際製薬技術協会)が発行している,GAMP(Good Automated Manufacturing Practice)は,CSVに関する実践ガイドラインです(最新はGAMP5)。 あくまでもガイドラインなので法的拘束力はありませんが,欧米でGAMPの考え方を導入している企業が多数あり,実質的な世界標準のCSVガイドラインとなっています。 日本のガイドライン(上述)もGAMPを意識した内容となっております(2012年:医薬品・医薬部外品製造販売業者等におけるコンピュータ化システム適正管理ガイドライン)。
GAMPでは,コンピュータシステムのライフサイクル管理を推奨しています。 ライフサイクル管理はコンピュータシステムの構想から廃棄までのライフサイクルに沿って品質管理を行う考え方で,GAMP5では主に「開発」フェーズから「廃棄」までの作業内容を提示しています。
GAMP5では,リスクに応じたバリデーション作業を推奨しています。開発フェーズでは「計画」→「仕様」→「製造」→「検証」→「報告」と全体の流れは決まっていますが,バリデーションの詳細内容はリスクに応じて決定する「リスクベースアプローチ」を提唱しています。 患者への安全性,製品品質,データの完全性を考慮し,低リスクの場合は簡易に高リスクの場合は濃密にバリデーションを実施することになります。
さらにGAMP5には,コンピュータ化システムを構成するソフトウェア(またはハードウェア)をカテゴリ分けし,カテゴリに応じたバリデーションを実施するための指針も含まれています。(但し,示されているカテゴリは例示で,最終的なカテゴリ分類とバリデーション内容は各企業での判断が必要です。)
運用フェーズでは,コンピュータシステムがバリデートされた状態を維持管理します。そのために,運用開始前に,各作業の手順書を準備しておく必要があります。
廃棄フェーズでは,新システムとの関係(一斉切替か平行かどうか)やデータ移行を検討し,ハードウェア/ソフトウェア/関連文書の保管・廃棄方針を明確にします。