錠剤表面着色成分の分析/FTIR

錠剤表面の変色の原因としては,錠剤成分自体が変色する場合と着色成分の混入による場合が想定されます。
表面の一部が黄色に着色した錠剤(図1)を分析しました。
図1を見ると,着色部は錠剤に染み込んでいるように見えます。また表面の状態が凹凸になっているため,密着が必要な顕微ATR法で直接測定するのは難しくなります。そこでここでは前処理として着色部をかき取って,顕微透過法で分析を行ないました。

 

図1 錠剤表面異物の実写真

異物をかき取って,ダイヤモンドセル上で薄く延ばした後に赤外顕微透過法でスペクトル測定を行ないました。ダイヤモンドセル上で薄く押しつぶした後の着色成分の拡大写真と得られたスペクトルを図2に示しました。測定した領域は30 × 30 μmです。
得られたスペクトルに対してスペクトル検索を行なった結果,錠剤の着色成分はカルナバワックスであると推測されました。
(カルナバワックスとは口紅,ファンデーション,食品添加剤など幅広く使用されている天然ワックスです。)

 

図2 かきとった異物の拡大写真と赤外顕微鏡によって得られた着色部のスペクトル

 

赤外顕微鏡

赤外分析の2大アプリケーションは,異物解析と確認試験です。
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