特性解析・品質管理

核酸医薬は、 バイオ医薬品とは異なり比較的費用対効果の高い化学合成によって製造できる特長があります。核酸医薬は近年、新しい医薬品モダリティとして特に注目されており、品質管理のための分析手法の開発・標準化は、産学連携による取り組みが進んでいます。
核酸医薬の開発・評価においては、有効性と安全性を確保するために熱安定性や構造、配列の確認などを行うことが必要不可欠です。

Tm測定と熱力学パラメータ解析

Tm測定と熱力学パラメータ解析

核酸(DNA、RNA)は、水素結合により二本鎖のらせん構造をとります。この二本鎖は、温度上昇に伴い水素結合が切断され、1本鎖にほどけます。その割合が50%になる温度を融解温度(Melting Temperature; Tm)と定義されています。そのため、2本鎖の安定性の指標としてTm値が利用されています。

配列確認

配列確認

品質管理の原則は、「有効性と安全性」です。オリゴヌクレオチドの配列は標的分子の認識そのものにかかわってくるため、重要な因子です。
一般的に、核酸の配列解析にはタンデム質量分析技術(MS/MS)が用いられますが、通常のイオン開裂技術として汎用されるcollision-induceddissociation(CID)では、特に内部配列を示唆するフラグメントが出にくい事が課題でした。マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法は、核酸のみならず様々な生体高分子をイオン化する技術として用いられています。MALDI法では、イオン化と同時にフラグメント化するイン ソース分解(in-sourcedecay;ISD)を起こすことで、単純開裂に基づく解釈が容易なマススぺクトルが得られるため簡便に配列確認を行えます。

分子量確認

分子量確認

合成されたオリゴヌクレオチドが目的成分であるか、さらには不純物の構造推定の為にLC-MSによる精密質量分析が重要な品質評価試験項目として挙げられます。
ここでは、高速・高感度のトリプル四重極型質量分析計を用いた分子量推定、および高精度なQ-TOF 型質量分析計を用いた分子量確認事例を紹介します。

定量、濃度確認

定量、濃度確認

核酸は、260nm付近に極大吸収を持つため、紫外可視分光光度計による定量が可能です。
しかし、核酸は少量のサンプルしか入手できないことが多く、微量レベルでの測定が求められます。下記アプリケーションでは、核酸の微量測定を行った事例を紹介します。