ドライビングシミュレータにおける自動車運転時の脳機能計測
光脳機能イメージング装置(fNIRS)は近赤外光を用いて,脳表面の活動状態をリアルタイムに可視化する装置です。 非侵襲かつ自然な状態で脳の活動状態を測定することができるという特長があり,自動車等輸送機分野の研究に活用されています。
本研究では,ドライビングシミュレータにて,車両を追従する課題を実施しました。運転支援有り/無しの2条件で各2回,脳機能計測を行い,走行状態を記録しました。fNIRSを用いた脳機能計測を行うことにより,作業負荷の観点から,運転支援システム評価の可能性が示唆されました。
ドライビングシミュレータでの脳機能計測領域と評価風景
運転支援なしの条件では,運転課題の後半にoxy-Hbが増加し,Z-Scoreは高い値を示しました。共通の脳活動として,運転課題中に前頭葉の両背側部が賦活しました(図1)。一方,運転支援有りの条件では,運転中のoxy-Hbの増加は見られず,運転支援無し条件よりも前頭葉の賦活は小さいことが示されました(図2)。この結果は,運転支援システムによってドライバの認知的負担が軽減されていることを反映すると考えられます。
図1 運転支援無しの条件における酸素化ヘモグロビン変化
図2 運転支援有りの条件における酸素化ヘモグロビン変化
参考資料:
柳沢一機,綱島均,丸茂喜高,伊藤誠,稲垣敏之,NIRSを用いた自動車運転時の脳機能計測(運転支援システムによるドライバの負担軽減の評価),ヒューマンインターフェース学会論文誌,Vol.14,pp.99-108(2012)
柳沢一機,綱島均,丸茂喜高,伊藤誠,稲垣敏之,NIRSを用いた自動車運転時の脳機能計測(運転支援システムによるドライバの負担軽減の評価),ヒューマンインターフェース学会論文誌,Vol.14,pp.99-108(2012)