とうもろこし加工食品中の組換え遺伝子(GA21) の検出
とうもろこし加工食品中の定性PCR法による組換え遺伝子の分析例を紹介します。4種類(缶詰コーン2種,ポップコーン1種,コーンスターチ1種)のとうもろこし加工食品からDNAを抽出し,各々の抽出DNAを鋳型として,とうもろこし内在性遺伝子SSIIb検出用および組換え遺伝子GA21検出用プライマーによりPCRを行いました。次に得られたPCR産物の分析をマイクロチップ電気泳動システムで実施しました。分析結果を図1に示します。
内在性遺伝子SSIIb検出用プライマーによるPCRでは,すべての加工食品サンプルならびに陽性コントロールプラスミドにおいてSSIIbに対応するPCR産物(151bp)が検出されました。加工食品由来のサンプルでは加熱によるDNAの損傷が大きく,内在性遺伝子が検出されないことがあります。内在性遺伝子が検出されていないサンプルでは,組換え遺伝子は検出不能と判定します。一方,組み換え遺伝子GA21検出用プライマーによるPCRでは,GA21に対応するPCR産物(133bp)は陽性コントロールプラスミドのみで検出され,「遺伝子組換えでない」と表示されている4種の加工食品サンプルでは検出されませんでした。
陰性と陽性コントロールに対するエレクトロフェログラムに示されているように,鋳型量が僅か20コピーの陽性コントロールプラスミドでSSIIb遺伝子(151bp)およびGA21遺伝子(133bp)が明確に検出されています。このようにマイクロチップ電気泳動システムにより遺伝子組換え食品の高感度の定性PCR分析が実現します。

図1 マイクロチップ電気泳動システムによるとうもろこし加工食品中の組換え遺伝子(GA21)の分析
[参考資料]
農林水産消費安全技術センター,JAS分析試験ハンドブック「遺伝子組換え食品検査・分析マニュアル」,
http://www.famic.go.jp/technical_information/jashandbook/index.html
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マイクロチップ電気泳動システム
マイクロチップを用いた電気泳動法により,DNAやRNAのサンプルを大きさによって分離し,DNAやRNAの核酸サンプルのサイズ(大きさ)確認やおおまかな定量を行います。マイクロチップを用いることによって電気泳動分離を高速に,蛍光検出により高感度に,しかも全自動で分析することができる電気泳動システムです。