アレルゲンの分析例(マイクロチップ電気泳動装置、LC-MS)
物アレルギーは食品中の特定のタンパク質に対する過剰な免疫応答によって引き起こされることが知られており,アレルゲンとの予期せぬ接触を防ぐために,食品に含まれるアレルゲンについては表示の義務が定められています。食品アレルゲンの検出には主にELISA法とPCR法が用いられていますが,最近ではLC-MSによる高感度な一斉分析法も国内外で検討されています。
マイクロチップ電気泳動装置によるアレルゲン性食品由来のPCR産物の分析例
国内でアレルゲン表示義務対象の7食品の中で,定性PCRによる検出が可能な特定原材料5種(小麦,そば,落花生,えび,かに)について,PCR法によりDNAの増幅を行い,マイクロチップ電気泳動装置により増幅産物の検出を行った例を示します。

アレルゲン性食品由来のPCR産物の分析結果
LC-MSによるアレルゲン性食品のタンパク質の一斉分析例
米国でアレルゲン表示義務対象となっている食品原材料(牛乳,卵,魚類,甲殻類,ナッツ類,ピーナッツ,小麦,大豆)に含まれる計13種のタンパク質のLC-MS/MSによる一斉分析例を紹介します。各種加工食品に含まれるタンパク質を抽出し,トリプシン消化して得られたペプチドを分析した結果,各食品からアレルゲン性原材料由来のペプチドを高精度に検出できることを確認しました。

各種パンのクロマトグラム
各種加工食品のアレルゲン表示と測定結果
食品 | アレルゲン タンパク質 |
パン | パン (グルテンフリー) |
ピーナッツ クッキー |
鱈フライ | ガーリック シュリンプ |
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表示 | 検出 | 表示 | 検出 | 表示 | 検出 | 表示 | 検出 | 表示 | 検出 | ||
牛乳 | Bos d 8 Bos d 5 |
- |
×
×
|
× |
×
×
|
× |
×
×
|
||||
卵 | Gal d 2 Gal d 3 |
× | × × |
- |
×
×
|
||||||
鱈 | Gad m 1 | × | × | ||||||||
バナメイエビ | Lit v 1 Lit v 3 Lit v 4 |
- | × |
×
×
×
|
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アーモンド | Pru du 6 | - | |||||||||
ピーナッツ | Ara h 1 | - | × | ||||||||
小麦 | Tri a 26 Tri a 36 |
× |
×
×
|
- |
×
×
|
× |
×
×
|
× |
×
×
|
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大豆 | Gly m TI | × | × | - | × |
アレルゲン検査の基礎知識

食品におけるアレルゲン検査の基礎知識を紹介しています。 アレルギーとは何かから検査法・アレルゲン管理の注意点について説明しています。
※島津ダイアグノスティクスのサイトにリンクしています。