熱分解-GC/MSによる環境サンプル中のマイクロプラスチックの定性・定量分析

概要

近年、マイクロプラスチックの化学的特性評価として、熱分解-GC/MS(Py-GC/MS)を用いた定性および定量分析による評価が検討されています。 
Py-GC/MSによる分析では、環境サンプルからマイクロプラスチックのみを分別する煩雑な前処理が不要です。
ここでは、砂や土が混在した路肩の堆積物中に存在するマイクロプラスチックを一つずつ取り出すことなく個別に定性、さらに簡易的に定量分析を行った事例を紹介します。

 

 

定性・定量分析用に、世界で生産量の多い12種類の樹脂で構成されたMP校正標準試料(フロンティア・ラボ社)を用いました。

表1

環境中のマイクロプラスチックの定性・定量を支援するマススペクトル検索ソフトウェアであるF-Search MPs (フロンティア・ラボ社)を用いて、12種類の樹脂について、それぞれ検量線を作成し、定量しました。

 

表2

合致率が90%以上の樹脂について、作成した検量線から定量値、割合を算出しました。 割合が多いPEは容器包装材料、農業フィルムなどに由来、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)はタイヤトレッド部分(直接地面に接する部分)に使用されており、タイヤの摩耗によるタイヤくず由来であると推測されました。
Py-GC/MSとF-Search MPsを用いることで、マイクロプラスチック中の樹脂を簡単に定性・定量できます。  

熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計

Py-GCMS

熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計(Py-GC-MS)

熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析(Py-GC/MS)法は、マイクロプラスチックを一つずつ取り出す煩雑な前処理を必要とせずに、複数樹脂を個別に定性・定量することができます。