有孔CFRPの引張試験における破壊観察/HPV-X2

炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic:CFRP)は,複合材料の中でも特に比強度に優れており,軽量化による燃費向上を目的に,航空機や一部の輸送機で使用されています。優れた機械特性を持つ複合材料ですが,一般的に複合材料の特徴として,切欠きがあると強度が著しく低下します。CFPRも例外ではないため,欠陥を有する試験片での試験が重要であり,中央部に切欠きとして円孔をあけた試験片での試験が行われています。

 

Table 1 試験装置
Experimental Equipment

 

高速度ビデオカメラ HPV-X2 2台
レンズ 105 mmマイクロレンズ 2個
照明 メタルハライドランプ 2台
試験機 AG-X plus
ロードセル 100 kN
つかみ具 100 kN用定位置くさび式つかみ具
つかみ歯 複合材料用台形やすり目歯
ソフトウェア TRAPEZIUM X(シングル)

Table 2 測定条件
Measurement Conditions

 

試験速度 5 mm/min
撮影速度 100万コマ/sec
200万コマ/sec
Fig.1	試験の様子 Over view

Fig.1 試験の様子
Over view

Fig.2	試験結果 Results of Material Test

Fig.2 試験結果
Results of Material Test

今回は,中央に6 mmの円孔を有する試験片を用いて引張試験を行うと同時にCFRPの破壊現象の観察も行っています。特に円孔部のような強度が弱い部分がどのように破壊するか確認することは,CFRPの開発やCAE解析の妥当性の確認のために重要なことです。しかし,CFRPの破壊現象は脆性的であり,瞬時に破壊するため,目視で確認することはできません。そのため,破壊現象の観察には高速度ビデオカメラが用いられます。

実験には,精密万能試験機AG-Xと2台の高速度ビデオカメラHPV-X2を使用しました。Table 1に使用した装置を示します。Fig.1に試験の様子をTable 2に測定条件を示します。Fig.1に示すようにカメラ(1)で試験片正面の破壊の様子を,カメラ(2)で試験片側面の破壊の様子を撮影しました。Fig.2にAG-X plusの試験結果を示します。

■ 撮影画像・動画

Fig.3に試験片正面の破壊の撮影画像をFig.4に動画を示します。Fig.4の画像(2)より破壊の起点は円孔左側であり,画像(3)では円孔右側でも亀裂が発生しています。その後,表層の繊維方向である45°方向にそれぞれ亀裂が進展しており,さらに試験が進行すると,画像(7),(8)のように複数の亀裂が確認されました。

Fig.3 カメラ(1)の撮影画像 (画像間の時間間隔は5 μs)

Fig.3 カメラ(1)の撮影画像
(画像間の時間間隔は5 µs)

 

Fig.4 カメラ(1)の撮影動画

Fig.5に試験片側面の破壊の撮影画像をFig.6に動画を示します。側面からの観察では,亀裂発生時には側面の破壊は確認できず,画像(5)においてはじめて確認できました。これは円孔周辺で発生した亀裂が画像(5)において側面に到達したためであると考えられます。その後,画像(6)において0°層を除く複数の層で破壊が確認できました。さらに画像(7)で0°層の破断が確認でき,面外方向に破壊が広がっていく様子が確認できました。

Fig.5  カメラ(2)の撮影画像 (画像間の時間間隔は5 μs)

Fig.5 カメラ(2)の撮影画像
(画像間の時間間隔は5 µs)

 

Fig.6 カメラ(2)の撮影動画

HyperVision HPV-X2 高速度ビデオカメラ

Hyper Vision HPV-X2
高速度ビデオカメラ

世界初,高画質と超高速の未知領域へ
科学分野の様々な場面で,現象が一瞬にして経過してしまい,解決の糸口が見つけられないことがあります。高速度ビデオカメラは,この一瞬を記録し,スローモーション再生することで可視化します。この技術は重要な解析手法として,材料破壊,放電,爆発,微小現象など様々な分野で利用されています。近年,高速化,微細化が進み,従来の撮影速度を遥かに超える超高速度撮影が求められています。
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炭素繊維強化プラスチックの有孔引張強さ試験システム

試験機 :AG-Xplus
ロードセル :100 kN
試験治具 :100 kN用定位置くさび式つかみ具,複合材料用台形やすり目歯
ソフトウェア:TRAPEZIUM X(シングル)

TRAPEZIUM LITE X

床置形精密万能試験機 AG-Xplus

床置形精密万能試験機 AG-Xplus

特長

試験サイクルタイムを短く
5kN以下の卓上形はリターン速度3300mm/min,クロスヘッド速度3000mm/minで駆動するHSタイプを選択頂けます。ゴム等のよく伸びる試験片の場合,試験のサイクルタイムを短くできます。

短柱タイプ(SC形)のラインナップ追加
電気・電子部品など小物部品の試験,圧縮試験を行われる場合に適しています。試験高さが1130mmなので,天井の低い部屋への設置が可能です。試験空間は700mmになります。

待機時省電力化で,環境負荷低減を進めます
世界的にCO2削減が必要となっております。AG-Xplusは待機時の消費電力を削減し,環境負荷低減に貢献します。フレーム容量により約10~25%の消費電力を削減します。

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