近年問題となっている地球温暖化の原因である大気中の温室効果ガス、特にCO2対策として、CO2を分離・回収、再利用する技術(CCSまたはCCUS)が研究されています。CO2の回収手法は、化学吸収法、物理吸収法、膜分離法などがありますが、排出源のCO2濃度や圧力などの物性により最適な方法が選択されます。中でもCO2と化学反応により強く結合するアミン溶液を用いた化学吸収法は、高い反応性を有するため、燃焼排ガスなどの低分圧CO2にも適用できる利点があり、国内外で様々な研究が進められています。

実験における流路系統図

CGT-7100およびTOC-Lを評価手段とするCO2吸収量評価

島津ポータブルガス濃度測定装置CGT-7100と島津全有機体炭素計TOC-Lを評価手段としたアミン水溶液によるCO2吸収実験の測定例をご紹介します。CGT-7100は試料ガス流量が広範囲なため、実験室スケールからプラントまでさまざまな実験や評価に活用が可能です。また、TOC-LによってCO2吸収液に含まれる溶存CO2や炭酸水素イオンなどの無機体炭素濃度を測定することができます。

アミン溶液へのCO2吸収実験の様子

TOC/TNによるCO2吸収アミン水溶液の評価

島津全有機体炭素計TOC-Lに全窒素ユニットTNM-Lを付加して、アミン溶液のCO2吸収量測定およびアミン溶液のTN測定とTOC測定をしました。
アミン溶液のIC測定により、溶存CO2や炭酸水素イオン濃度などの無機炭素濃度を求めることで、アミン溶液による温室効果ガスCO2の分離・回収プロセスを評価することができます。
また、TOC/TN測定によるアミン溶液の濃度管理も可能です。

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