タイヤのゴムの基材および添加剤の分析 -熱分解-GC-MS/FPD検出器分岐のご紹介-

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ユーザーベネフィット

- FPD(S)とMSの検出器分岐システムを使用することで、硫黄化合物をFPDで選択的・高感度に検出し、同時にMSで定性解析を行うことができ、分析の手間を大幅に削減します。 - LabSolutionsGCMSを使用することで、複雑な検出器分岐の設定を簡単に行うことができます。 - 発生ガス分析法により、サーモグラムの平均マススペクトルからポリマー素材を推定することができます。

はじめに

自動車や自転車などの車両のタイヤのゴムは、耐摩耗性、耐熱性、耐候性に優れた特性を持ち、長期間にわたり使用されます。タイヤのゴムは使用中に摩耗し、道路のアスファルト由来の鉱物粒子と混合することで、タイヤ・路面摩耗粉塵(Tyre and Road Wear Particles:TRWP)を生成します。TRWPはマイクロプラスチックの一種としても知られており、海洋プラスチック汚染の一因となっています。 TRWPには、多数の化学物質が含まれています。例えば、加硫促進剤、酸化防止剤(6PPDなど)、可塑剤などが挙げられます。これらの物質が環境中に放出されると、生態系に悪影響を及ぼす可能性があります。TRWPの放出量を減らすためには、タイヤの耐摩耗性を向上させることが重要です。耐摩耗性の高いタイヤは、使用中に摩耗する量が少なくなるため、結果としてTRWPの発生量も減少します。耐摩耗性の向上には、ゴムの基材や添加剤の検討が重要です。添加剤の中でも、加硫促進剤は、硫黄加硫反応を促進し、タイヤに必要なゴムの物性を向上させる役割を果たします。 本稿では、タイヤのゴムの基材および加硫促進剤などの硫黄成分を含む添加剤の分析を行った事例を紹介します。

2025.04.22