HS-GC/MS法を用いた再生PET中のアセトアルデヒド、リモネンの分析

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ユーザーベネフィット

- ヘッドスペースサンプラ―を用いることで、樹脂を溶媒に溶解することなく、樹脂からの溶出ガスを容易に測定できます。 - HS-GC/MSを用いることで、夾雑物が多く判別が難しい試料中の目的成分の定性・定量を行うことができます。 - ヘリウムに比べ、安価で入手しやすい水素をキャリアガスに用いることで、分析コストを抑えることができます。

はじめに

プラスチックは、軽く、強く、防水性があり、とても便利であるため、現在の我々の生活に欠かせない一部となっています。その一方、海洋汚染や地球温暖化を進めるなど、環境問題の大きな要因であるため、世界各国で脱プラスチックの取り組みが行われています1)。 日本では、2022年4月から「プラスチック資源循環促進法」2)が施行されました。これはプラスチックを規制するものではなく、プラスチック製品の設計から製造・販売・回収・リサイクルという全体の流れの中で、事業者・自治体・消費者が連携しながら、地球に優しい循環型経済(サーキュラーエコノミー)の構築を推し進める法律です。 これらの取り組みの中の一つに、PETボトルの飲料用ボトルとしてのリサイクルがあります。飲料用ボトルはリサイクルするとき、残留するにおいが問題となり、水飲料のPETボトルからのアセトアルデヒド、柑橘系飲料からのリモネンが容器に残留しやすい物質として知られています。これらの残留物質に対し、リサイクル業者では独自の取り組みが行われていて、その方法の一つに、ガスクロマトグラフー質量分析計(GC-MS)を用いた残留物質を定量する方法があります。 本稿では、GCMS-QP2020NX/HS-20NX(図1参照)を用いて、キャリアガスに水素(H2)を用い、PETボトル中のアルデヒド、及び、リモネンの定性、定量を行った例をご紹介します。

2024.06.11