UV-1900i
トルイジンブルーO吸着法を用いたナノセルロースの表面官能基定量
ユーザーベネフィット
- 1測定あたり数mg程度の少量でセルロースナノファイバー表面官能基を簡便に定量できます。 - 定量の再現性が高く、属人性の低い結果が得られます。 - 紫外・可視分光光度計による1回の測定時間は非常に短いため、2.5時間程度で50検体の定量が可能です。
はじめに
セルロースは、植物細胞壁の主成分である多糖類の一種です。中でも繊維径4〜100nm、⻑さ数μm程度、アスペクト比100以上のセルロースはセルロースナノファイバー(CelluloseNanofiber:CNF)と呼ばれ、最先端のバイオマス素材として注目されています。CNFは軽量かつ高強度であることに加え、高いガスバリア性や吸着性、透明性などの優れた機能を持ちます。また、植物由来であることから、生産や廃棄に関する環境負荷が小さい素材であり、今後は自動車部材、電子材料、包装材料などへの応用が期待されています。 CNFをはじめとするナノセルロース材料の表面には硫酸エステル基、カルボキシ基などの表面官能基を修飾することができ、様々な機能を付加できます。これらの表面官能基のイオン部分は水中では荷電基として機能し、水分散性を高めます。この表面荷電基の定量には、従来、伝導度滴定法が用いられてきました。この手法は汎用的ではありますが、①必要試料量が数百mgと多い、②測定時間が長い、③目視での確認が必要、④作業者によって結果が異なる、などの課題があります。そのため、これらの課題を解決し、簡便かつ属人性の低い手法が求められています。今回は、信州大学荒木潤教授のご協力により、島津紫外可視分光光度計を用いてトルイジンブルーO(TBO)吸着法による表面官能基を定量した事例をご紹介します。
2023.05.23