X線検査装置および蛍光X線分析装置を用いた膨張黒鉛シートにおける異物の非破壊検査

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ユーザーベネフィット

- 膨張黒鉛シートに埋伏する異物の検査が非破壊で行えます。 - シーケンス機能を使用することで,短時間かつ簡便に製品全体の量産検査が行えます。 - 透視検査で見つかった異物は,EDXで元素分析することで混入経路の特定に有効です。

はじめに

ガスケットは、構造に気密性や液密性を付与するシール材で、使用環境に応じて、ゴム製、樹脂製、金属製などが存在します。自動車のエンジン回りや排気系統には金属製のガスケットが使用されていましたが、高価であることから膨張黒鉛を主原料としたガスケットが代替品として注目されています。 黒鉛ガスケットは板厚0.1mmほどのSUS表面を膨張黒鉛で挟んだ構造であり、黒鉛は耐熱性、耐薬品性が高いため、外部起因によるガスケットの腐食の心配がありません。安価で丈夫な黒鉛ですが、膨張加工の工程でごく稀に砂や金属片といった異物を埋伏してしまう可能性があり、サイズによっては気密性を阻害してしまうため製品不良となります。加工の早い段階での検査や再発防止のために混入経路の特定が重要です。 そのような異物検査にはX線透視検査が有効です。製品を破壊することなく、迅速に内部状態を調べられるため、埋没した異物であっても簡単に検知することができます。また検出された異物の元素分析には蛍光X線分析が有効で、混入経路の特定に役立てます。 本稿では、マイクロフォーカスX線検査装置Xslicer™SMX™-1020(図1)を使用した黒鉛シート中の異物検査事例をご紹介します。またエネルギー分散型蛍光X線分析装置EDX-7200を併用した埋没異物の元素分析の例を紹介します。

2023.05.09