LC-MS/MSとICP-MSを用いた 培地分析による抗体生産細胞の代謝解析

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ユーザーベネフィット

- 簡便な前処理により培地や培養上清中の有機/無機成分をそれぞれ一斉分析可能です。 - 有機/無機成分を組み合わせた代謝解析が可能です。

はじめに

抗体医薬品の原薬は、細胞を培養することで生産されます。昨今、宿主細胞の開発が盛んに行われており、大阪大学大政研究室にてチャイニーズハムスター肺由来細胞(CHL-YN細胞)が樹立されました1)。CHL-YN細胞は、抗体生産に頻用されるCHO-K1細胞に比較して約2倍の増殖能を有します。本細胞の産業応用実現には、宿主細胞の代謝を理解することが重要ですが、CHL-YN細胞の代謝はまだ十分に調べられていません。近年の研究では、培養液中の有機/無機成分の変動による抗体生産量や品質への影響について多くの報告があります。さらに有機/無機成分は培養液中で相互作用しながらその動態に影響することも知られている2)ため、代謝の理解には培養液中の有機/無機成分両方の分析が必要と考えられます。そこで本アプリケーションニュースでは、CHL-YN細胞抗体生産株の培地/培養上清をサンプルとして、LC-MS/MS(LCMS-8060NX)を用いた有機成分144化合物、ICP-MS(ICPMS-2030)を用いた無機成分9元素を対象とした分析を行い、それらの統合データを用いて抗体生産に関わる成分や代謝経路を探索しましたので、ご紹介します。

2023.06.29

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