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はじめに

XPS(X線光電子分光法:X-ray Photoelectron Spectroscopy)は、物質表面約10 nm に存在する元素の定性・定量分析に加え、化学結合状態の分析が可能な表面分析手法です。 DLC(Diamond Like Carbon)は、物質の表面にコーティングすることで、耐摩耗性や摺動性などを付加することができ、自動車、精密部品など様々なところで用いられています。DLC を構成する炭素の結合は、ダイヤモンド構造のsp3とグラファイト構造のsp2からなり、目的に応じてその比率を変えることで特性を変化させることができます。 XPSによるDLCの精度の高い化学結合状態解析には、エネルギー分解能の高いスペクトルが必要です。ここでは、高いエネルギー分解能を持つKRATOS ULTRA2™(英国名AXIS Supra)を用いて測定したスペクトルデータより、sp3結合とsp2結合の比率を推定した例をご紹介します。

2020.09.29