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はじめに

強度や耐久性が要求される工業製品を中心に,従来材料よりも比強度・剛性が高く,酸化して錆びることのない炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の適用が検討されています。均質な従来材料と違い,複合材料である CFRP は異方性を有し,負荷される応力主軸方向などによって,引張,圧縮,曲げ,面内せん断,面外せん断もしくはこれらが組み合わさる複雑な破壊挙動を示します。近年,試作回数を抑制でき,新製品開発のコストを低減できるために CAE 解析が産業界に広く普及しています。設計した製品の性能予測の精度を高めるためにはこれらの各種特性値が必要であるために,CFRP を試験評価する際には,それぞれの破壊挙動を純粋に評価可能な試験手法が強く求められています。 本稿では,面内せん断試験法として複合材料の分野で広く採用されているV-Notched Beam 法(Iosipescu 法,ASTMD5379)の試験事例を紹介します。 この試験は V ノッチを設けた試験片を非対称な 4 点で支持し圧縮負荷をかけることで評定部(Fig. 1 参照)に純粋なせん断応力を負荷することが可能な試験法です。これに加えて,試験片および治具のセッティングが比較的容易であること,一方向材,直交積層材および不連続繊維材など様々な CFRP 積層材に適用できるという特徴を有します。

2016.05.19

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