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食肉、卵、牛乳中のアミノグリコシド系抗生物質の高速定量分析とMRM スペクトルを用いた化合物同定
はじめに
アミノグリコシド系抗生物質(AGs)は、牛、羊、豚および家禽に対する細菌の感染防止のために広く使われています。AGs は、様々な菌に有効な広域抗生物質であり、グラム陽性菌とグラム陰性菌の両方に有効です。AGs は、聴器官毒性や腎毒性がありますが、その価格の安さから、獣医学分野で広く使用されています。 AGs は、体組織への親和力も高く、万が一休薬期間を守られなかったり、不適切に使用されたりした場合には、我々が口にする食肉、牛乳、卵などの中に残存する可能性があります。AGs を含む食品を食べることは、人体にとって有害です。そこで、規制当局は、獣医学分野で使用されている AGs 系化合物に対して、食物中の残留基準(MRL)を設定しています。 AGs 系化合物は極性が非常に高く、通常の逆相カラムには、ほとんど保持されないため、通常の逆相クロマトグラフィーの分離では、イオンペア試薬が使われます。イオンペア試薬は LC の流路やカラム、MS のインターフェイスなどに残留しやすく、他の分析で良好なデータが得られないことがあり、使用が好まれないことも少なくありません。「LC/MS/MS メソッドパッケージ アミノグリコシド系抗生物質」では、イオンペア試薬を使用しない親水性相互作用液体クロマトグラフィ(HILIC)を用いた LC-MS/MS による分析メソッドを提供しています。高速定量分析メソッドとMRM スペクトルを用いた化合物同定メソッドの 2 つが収録されています。化合物同定メソッドを使った分析は、高速定量スクリーニング分析と同じ移動相、カラムを使用するため、高速定量スクリーニングと化合物同定を同じ分析システムで、メソッドを変えるだけで簡単に行うことが可能です。さらに、上記メソッドパッケージには、食肉、卵、牛乳に対応できる単一前処理プロトコルが前処理例として含まれています。 本報では、いくつかの食肉サンプルと牛乳の安全性評価のための「LC/MS/MS メソッドパッケージ アミノグリコシド系抗生物質」の活用方法をご紹介します。
2018.05.24
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