Nexera FV
高感度LC/MS/MSによる食品中アレルゲンの一斉分析
はじめに
食物アレルギーは食品中の特定のタンパク質に対する過剰な免疫応答によって引き起こされることが知られており、公衆衛生および食品産業における喫緊の課題になっています。アレルゲン(アレルギー物質)との予期せぬ接触を防ぐために、食品に含まれるアレルゲンについてはラベルに表示することが厳密に定められています。米国では食品医薬品局(FDA)が食品アレルゲン表示および消費者保護法(FoodAllergen Labeling and Consumer Protection Act, FALCPA)に基づき、主要なアレルゲンとして牛乳、卵、魚類(例:スズキ、ヒラメ、タラ)、甲殻類(例:カニ、ロブスター、エビ)、ナッツ類(例:アーモンド、ピーカンナッツ、クルミ)、ピーナッツ、小麦、および大豆の 8 品目を特定し、これら主要なアレルゲンの存在を食品のラベルに表示する事を義務付けました。 現在、ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)や PCR(Polymerase chain reaction)が検出方法として広く用いられており、これらは比較的簡便な操作によってアレルギー性食品原材料を検出することができます。その一方で、ELISAは交差反応により類似物質を擬陽性として誤検出するリスクが知られています。さらに、ELISA を用いた一斉分析は限定的であり、幅広い食品原材料を検査対象とする場合は異なる測定キットで複数回に分けて測定する必要があります。また、PCR はタンパク質ではなく DNA を検出する手法であるため、牛乳と牛肉を区別することは難しく、また DNA を含まない卵の白身を検出することも困難です。これらの理由により、より確度の高い方法を用いてアレルゲン分析を行うことの重要性が高まっています。近年、液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)を用いた方法が、その高い選択性と感度、複数のアレルゲンに対する一斉分析の可能性から食品アレルゲンの新たな測定法として注目を集めています。本報では LC/MS/MS を用いた8つの主要アレルゲン由来のペプチドを検出する一斉分析方法の開発と市販の加工済み食品を用いた評価についてご紹介します。
2017.08.20
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