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はじめに

フレーム原子吸光分析は,ルーチン分析において信頼性の高い無機分析法として確立されています。一般に,フレーム原子吸光分析ではppmレベル,ファーネス原子吸光分析ではppbレベルが測定されます。ファーネス原子吸光分析は感度面で優れた分析法ですが乾燥・灰化・原子化のプロセスを経るため,フレーム原子吸光分析と比較した場合,ルーチン分析で要求される迅速性に欠ける点があります。今回,新しくデザインされたブースターを用いることでフレーム原子吸光分析の測定感度が向上し,フレーム原子吸光法の適用範囲がさらに広がります。 ブースターは長短2つのスリットが切られた全長150mmの石英管です。石英管は,長スリットとバーナスリットの位置合わせを行ったのち,ホルダーでバーナヘッドに固定されます。フレームは,長スリットから入り石英管を通過し短スリットへ貫けます。フレームが石英管を通過するさい,原子の滞留時間が長くなることで感度の向上がはかれます。 今回,このブースターを用いたCd,Cu,Mn,Pbの検量線と主だった元素の定量下限を紹介します。

1999.02.14