Nexera™シリーズ
ELSD-LT IIIを用いた清涼飲料水中のマルトオリゴ糖10種一斉分析
はじめに
糖分析の分離手法には配位子交換や親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)などがあります。HILIC は、単糖類、二糖類の他、保持が大きいオリゴ糖の分析にも用いることができます。HILIC とグラジエント溶離法を組み合わせることで比較的短時間で糖類の一斉分析が可能になりますが、糖類は紫外可視吸光が 190 nm から 195 nm の非常に狭い短波長域のみでしか得られないため、分析時には示差屈折率検出器(RID)を使うことが一般的です。しかし、グラジエント溶離法は屈折率が変化するため RID による検出時には用いることができません。そのため、RID は保持時間が大きく異なる成分同士の分離には適さず、一斉分析には時間がかかります。 蒸発光散乱検出器(ELSD)は移動相を噴霧、蒸発させ、微粒子化した目的成分の散乱光を測定する汎用性の高い検出器です。グラジエント溶離も適用することができるため、分析時間の短縮や多成分の分離が可能です。 一方で、食品中に含まれる糖類は成分によって含有量に差があることが多くあります。このような食品中に含まれる成分の一斉分析を行う場合には、全成分について最適な感度になるパラメータを検討する必要があるため煩雑です。本稿で用いた ELSD-LT III に新しく搭載された Wide 機能により、感度に関するパラメータが自動的に最適化され、低濃度から高濃度まで試料濃度に関わらず同じメソッドでデータを採取することが可能になりました。 ここでは ELSD-LT III を用いた清涼飲料水中のマルトオリゴ糖 10 種(G1~G10)の一斉分析例をご紹介します。
2020.09.29
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