花の香りの分析

はじめに

我々の身の周りには香気性のものが溢れており，中でも植物の香りに多くの人が魅力を感じています。花の香りにはアルコール，エステル，アルデヒド，ケトン等の化合物が多数含まれ，その混合により芳香を醸し出しています。芳香成分を簡便に測定する方法としてヘッドスペース‐GC/MS法（以下HS-GC/MS法と略す）と固相吸着･加熱脱離‐GC/MS法（以下TCT‐GC/MS法と略す）があります。HS-GC/MS法はサンプル瓶にサンプルを密閉し，サンプル瓶を保温します。熱により気化した成分をGC/MSの分析カラムに導入して分析します。TCTGC/MS法では気化した成分を捕集剤で濃縮し，熱脱離することでGC/MSの分析カラムに導入して分析します。よって，分析手法の簡便さを求める時にはHS-GC/MS法を使用し，低濃度成分を高感度に分析する時にはTCTGC/MS法が選択されます。今回はカーネーションの香りをHS-GC/MS法とTCT-GC/MS法を用いて分析しました。 HS-GC/MS法では花の香りの主成分が観測されており，TCT-GC/MS法ではより低濃度の成分を観測することが可能となりました。

2008.04.22