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はじめに

再生可能エネルギーの開発において,炭化水素を生産する微細藻類が注目を集めています。酸素を含まず,性状も重油に近いため,既存液体燃料の代替燃料として利用しやすく,また原料として食料と競合しない点が特徴です。生産される炭化水素から石油化学原料を産出する研究も行われており,その生成物の同定には質量分析計が利用されています。 ガスクロマトグラフ-質量分析計(GC-MS)では,通常イオン化法として電子イオン化(EI)法が用いられますが,炭化水素の分析では,炭素数が大きくなるにつれて,分子質量情報を有する分子イオンをマススペクトル上で確認することが難しくなります。一方,正化学イオン化(PCI)法では,イオン-分子反応により,プロトン化分子や脱プロトン化分子が生成しやすいので,EI 法より分子質量情報が得やすくなります。 ここでは,微細藻類から得られるスクアランを触媒で分解して得られた炭化水素について,PCI-GC-MS で測定した例をご紹介します。

2015.09.27