北京新領先医薬科技と島津グループが戦略的提携

北京新領先医薬科技発展有限公司

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  • 分野

    低分子医薬品, バイオ医薬品

  • キーワード

  • 紹介する製品・サービス

    Nexis™ GC-2030, LCMS-8060NX, UV-i Selection

北京新領先医薬科技様は2005年に設立された中国の最大手CROの一つです。北京に拠点を置かれ,600名以上の経験豊富なスタッフにより医薬品開発・製造に関する様々なサービスを提供しておられます。
2019年8月には,北京新領先医薬科技様と島津グループとの間で戦略的な提携に調印し,両社による共同実験室の設立式を行ないました。今回は北京新領先医薬科技様にお伺いし,中国の医薬品業界におけるニーズや,島津グループとの提携に期待されていることについてお話を伺いました。

Customer

陶 新華 様

董事長
陶 新華 様

 

*お客様のご所属・役職は掲載当時のものです。

北京新領先医薬科技発展有限公司
URL http://www.leadingpharm.com/en/

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インタビュー

北京新領先医薬科技様ではどのような用途に島津製作所の分析機器をご使用いただいていますか? 

当社は中国におけるジェネリック医薬品の一致性評価の再開発を手がける代表的な企業であり,島津の各種分析装置を使用しています。現在はHPLC,GC,LC−MS,UHPLC,UVなど約160台の島津の装置を保有しており,主に医薬品の品質基準の確立および不純物の分取精製に使用しています。例えば,HPLC,GC,UVは医薬品不純物のコントロール方法の開発や不純物の検出に使用しています。その他,溶出試験システムを使用した薬物の体内動態のシミュレーション,分取クロマトグラフによる微量の不純物の抽出,質量分析計による不純物の定性・定量分析を行っています。

数ある分析機器サプライヤーの中で島津製作所の機器をご採用頂いている理由をお聞かせください。

島津製作所の装置を選ぶ理由は次の3点が挙げられます。

  1. 高いコストパフォーマンス。国内外の他のプロバイダーと比べて,島津製作所の装置は高い安定性,高精度,省エネルギー性能などの特長があり,コストパフォーマンスに優れています。現場のオペレーターは,ハードウエアやユーザーインターフェースが他の欧米ブランドの装置よりも使いやすいと感じています。
  2. 豊富な製品ラインアップ。島津製作所の装置は様々な医薬品分析のニーズに応え,分光光度計,クロマトグラフや質量分析計など各種の装置を提供しています。また,様々な顧客のニーズに対して,それに対応する機種を提供することができます。
  3. ラボトータルソリューションの提供。島津製作所は分析装置のサポートに加えて,その周辺技術や消耗品のサポートも迅速に提供できます。また,設備の修理やメンテナンスの対応も早く,48時間以内に装置の不具合を解決し,大変満足しています。

現在の中国における医薬品業界の動向やニーズについてまた北京新領先医薬科技様の強みについてお聞かせください。

2015年より,中国国家食品薬品監督管理局,国家衛生与計画生育委員会は一連の医薬品研究開発の革新,及びジェネリック医薬品の一致性評価を奨励する政策を発表しました。政策は主に,医療制度改革,医薬品承認審査および一致性評価の3つの分野に分類されます。これらの政策は中国国内の製薬企業,外資系製薬企業,病院,CRO,CSOと患者に影響を与えています。抗がん剤の新薬開発や,ジェネリック医薬品開発に対する政府のサポートはこれまでにないものとなっています。優先審査,審査承認プロセスの簡略化,迅速な医療保険適応などの政策の推進は,中国における創薬とジェネリック医薬品の発売スピードを加速し,いち早くより多くの患者に利益をもたらします。これらの政策実施に伴い,製薬企業は研究開発コストの増加とパテントクリフの二重のプレッシャーを受けると同時に,研究開発人材の制限の影響も受けています。そして,成熟したプラットフォームを有する医薬研究開発委託会社に開発業務を委託して製品開発のコストを下げ,研究開発効率を高めようとする動きが見られます。これは中国共産党第19回全国代表大会で提唱された「中国の経済はすでに高度成長段階から高品質発展段階に移っている」という論述に該当するものです。業界における研究開発モデルの変化を加速し,産業構造のアップグレードを行い,中国の国家としての発展の中で重要な戦略的意義を果たしました。それにより,医薬品業界における大幅な統合が生じて,医薬品企業の数が絞られ規模が大きくなる方向へと変化しています。それに伴い,医薬品の研究・開発企業も変化を呈しています。業務が単一かつ規模が小さい会社はすでに競争力を失っており,サプライチェーン全体をカバーする規模の大きい会社は明らかに優位に立ちます。将来の医薬品業界は,強い医薬品企業と強いCROの連携が基盤となっていきます。

当社はジェネリック医薬品開発に関するサービスをベースに,国の政策の動向をいち早く把握し,サービス範囲を拡大しつつ,中国国内の製薬企業に包括的な新薬研究開発及びジェネリック医薬品の一致性評価に関する技術を提供しています。ジェネリック医薬品の一致性評価における体内外溶出ブリッジングのギャップを埋め,製品の開発周期を約30%短縮し,研究開発コストを下げて研究開発の効率を向上します。包括的なソリューションを提供できることは当社の強みです。薬学と臨床の一連のプロセスにおけるサービスをカバーしており,薬学と臨床間のコミュニケーションコストを低減して開発周期を短縮することで,迅速な創薬研究開発及びジェネリック医薬品の一致性評価に関するサービスを提供しています。ヘルスケア産業の下流は主に製薬企業,医療機器メーカー,医薬品販売企業,ヘルスケア企業およびその他の研究機構を含む医薬品関連企業です。低コスト,低リスク,高効率といった当社の強みを通じて,製薬企業と当社との協力関係はより一層緊密になっています。ジェネリック医薬品の一致性評価に関しては,当社は医薬品一致性評価センターを設立し,関連する国の機関と連携してジェネリック医薬品の品質管理水準を向上し,中国の医薬品水準をグローバル水準にすることに取り組んでいます。

北京新領先医薬科技様において今後必要となる分析技術(あるいは分析技術の進化)はどのようなものとお考えでしょうか?

当社は創立以来,「中国の新薬製造技術を世界レベルに(Making Chinese new drug manufacturing technique synchronize with the world)」という経営理念を確立し,多くの製薬企業と戦略的な協力関係を結び,新しい薬の発見,ジェネリック医薬品の一致性評価・生産の全プロセスに様々な技術・サービスを提供してきました。今後,当社は下記の分析技術に関する戦略の策定に重点を置きたいと考えています。

  1. 新薬とジェネリック医薬品の分析技術開発を向上し,分析技術の幅を広げ,さらに環境に優しい実験室を作り上げます。特に高分解能質量分析計,誘導結合プラズマ質量分析計,高速液体クロマトグラフ質量分析計,イオンクロマトグラフなどによる遺伝毒性不純物の測定方法のアプリケーションとメソッド開発に着目し,関連する毒性不純物の分析方法ライブラリを構築して医薬品業界の企業に技術サポートを提供したいと考えています。
  2. 従来の分析プラットフォームをモジュール化することで,製薬企業に優秀な人材による迅速,高効率,高品質の技術サービスを提供します。「技術や学問にはそれぞれの専門がある。」中国のことわざにあるように,当社の分析チームはすでに各種の検査・測定プラットフォームを確立しています。例えばGCプラットフォーム,関連物質分析方法の確立及び検証のためのプラットフォーム,溶出プラットフォーム,質量分析プラットフォーム,包装材料適格性プラットフォームなど,それぞれの専門領域の人材がその分野の業務を行うことで,装置の効率を最大化します。今後新しく導入する設備や人材,あるいは政策や法律の需要によって,当社はモジュール化をさらにアップグレードしていきます。
  3. 様々なリソースを統合し,国内外の大学や科学研究機関,装置メーカーなどと緊密な技術交流と連携を行います。例えば,島津と共同実験室あるいは分析測定プラットフォームを構築して,装置リソースの共有や緊密な技術交流と連携を促進し,中国,そして世界の分析技術の発展に貢献していきたいと考えています。

島津グループとの戦略的な提携にご期待いただいていることはどういったことでしょうか?

2019年8月末に当社は島津(上海)実験器材有限公司と共同実験室を設立しました。同実験室は島津と産業におけるサプライチェーン全体をカバーする医薬品研究開発上場企業である新領先医薬科技との中国全国で初となる共同実験室です。設立の目的は,双方が共同で注目されるアプリケーションを開発し,中国薬局方委員会に規格の改善を提案することで,規格への要求を高めることを通じて先進的な分析手法を推進し,医薬品業界の品質管理水準を向上することです。医薬品の研究開発および製造の分野では,新領先のメソッド開発と島津の最先端な設備は将来一つのコラボレーションブランドとして業界に認知されるかもしれません。今後,新領先は島津との緊密なコミュニケーションを継続していきます。新領先は医薬品研究開発のプロセスおよび顧客とのコミュニケーションにおいて,設備の性能,利便性,汎用性などについて建設的な提案を行い,島津は新しい装置の設計と開発においてそのような提案を反映した装置の改善とアップデートを行い,装置がよりよく医薬品研究開発分野で使われるように取り組んでいきます。当社も最新の分析装置を使って,より高感度の測定方法を開発し,医薬品業界および環境,食品,化学工業など様々な業界の測定技術の進歩に貢献していきたいと考えています。