Xctal 5000 - 特長

微細構造群の観察

広視野で撮影した「散乱像」から、ワーク全体における繊維束の流れや、クラックなどの微細構造群の有無や位置に見当を付けることができます。拡大撮影した「吸収像」から、微細構造群の詳細な形状が観察できます。

これにより、微細構造群を観察する場合に、狭い視野で複数回撮影する必要がありません。

例：クラックのあるCFRPクロス材の断面画像

 

 

繊維配向の観察

撮影した複数枚の散乱像から繊維束の流れを配向角度に合わせてカラー表示が可能です（繊維配向カラーマップ）。

繊維束の流れを色で表すことにより、直感的に理解することができます。

アプリケーション（散乱像）

  GFRP　射出成型品

射出成型において、溶融樹脂の合流部分が線状の跡（ウェルドライン）となる成型不良が発生する可能性があります。本装置ではワークの角度を変えながら散乱像を取得することで、繊維の流れを解析しウェルドラインの位置を特定することが可能です。

  バイオコークス

バイオコークスとは光合成に起因する植物から形成できる固形バイオ燃料です。形成時に発生した微細なクラック群を散乱像によって可視化した例を紹介します。材質とクラック（空気）の境界におけるX線の散乱を検出することで、従来のX線CTでは可視化できなかった微細なクラック群を可視化することができます。

本装置による極微小クラック定量分析は、バイオコークスが石炭コークスの燃焼特性に限りなく近づけたかの評価基準となり、再生可能エネルギー転換によるカーボンニュートラル社会を実現するための礎となります。

（ワーク・コメントご提供：近畿大学 バイオコークス研究所 井田民男先生）

ワーク・コメントご提供者の所属は、2022年7月27日時点のものです

吸収像と屈折像による高コントラスト観察

吸収像は、吸収係数の差が大きなワークを高コントラストで観察できます。屈折像は、密度差が大きなワークを高コントラストで観察できます。

この2種類の観察方法により、さまざまなワークの高コントラスト観察を可能にします。

  水とアクリル

吸収係数の差よりも密度差が大きいため、屈折像の方が高コントラストで観察できます。

屈折像は、密度差が約0.2 g/cm³以上ある場合、高コントラストで観察できます。

  水と複数種類の樹脂

「吸収像」と「屈折像」でコントラストのつき方が異なります。下のグラフで示す通り、吸収像のグレースケール値は吸収係数に比例し、屈折像のグレースケール値は密度に比例します。

アプリケーション（屈折像）

  マウス（新生仔）

マウス（新生仔）の撮影事例です。ホルマリン固定のみ、造影処理なしで臓器の観察が可能です。

舌、心臓、胸腺、肝臓、胃などの軟組織が、外形のみならず内部まで観察できます。また、鼻中隔などの軟骨も撮影でき、骨も従来のmicroCT同様に撮影できます。ヨウ素液への浸漬などの造影処理なしで、軟組織・骨の構造を非破壊で観察できるため、サンプルをその後速やかに組織切片作製に用いることができます。

（ワーク・コメントご提供：東京医科歯科大学 分子発生・口腔組織学分野 井関祥子先生、奥原滋先生）

ワーク・コメントご提供者の所属は、2022年11月1日時点のものです

  昆虫・魚

ミンミンゼミとフタホシキツネベラの撮影事例です。

昆虫はこれまであまりに小さいために、高解像度のCT撮影は難しいとされてきました。しかしこの断面画像では、ミンミンゼミ♀の胸部に走る飛翔筋の筋束や、腹部につまった卵の1個1個まではっきりと見えています。

（ワーク・コメントご提供：国立科学博物館 陸生無脊椎動物研究グループ 野村周平先生）

魚類などの小型脊椎動物の内臓や脳を観察することができるので、研究が困難だったソフトパーツの形態学を推し進めることが期待されます。染色しないで観察できることは、貴重な生物標本や試料を維持する観点でも優れています。

（ワーク・コメントご提供：国立科学博物館 脊椎動物研究グループ 篠原現人先生）

ワーク・コメントご提供者の所属は、2022年7月27日時点のものです

3ステップ撮影

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