Hyper Vision HPV-X2 - アプリケーション
高速度ビデオカメラ
撮像例:航空・宇宙分野
・ 風洞実験の気流の様子
・ 航空・宇宙材料の高速衝撃試験
・ 高速飛翔物体の挙動
・ 衝撃波の発生と伝播
地球の衛星軌道上には宇宙ゴミと呼ばれる人口衛星やロケットの破片が高速で周回しており,運航中の宇宙船等へ衝突し,破損させてしまうことが問題となっています。
また,近年,航空機の部品材料の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)への置き換えが進んでいますが,航空機は飛行中に鳥や雹の衝突や被雷に見まわれるため,材料の耐衝撃性や被雷による損傷挙動をあらかじめ調べておくことが必要です。
このような航空・宇宙材料の開発においては,高速飛翔体による材料の破壊挙動や高速衝撃下の材料の変形・破壊挙動を調べるために,高速度カメラが使用されています。その他,推力発生装置の開発,風洞実験による空力設計,雷撃試験による損傷挙動観察,衝撃波や爆轟波など高速波動現象の基礎研究に高速度カメラが用いられています。
透明積層材と樹脂球の高速衝突
高速衝突の実験の様子
透明積層材(ポリカーボネート)のブロックと樹脂球(ナイロン球)の高速衝突による破壊過程の画像です。衝突によって発生した応力波によりブロック内にクラックが発生・成長していく様子を捉えています。
ガス銃から秒速3.5kmで射出された樹脂球と透明積層材との高速衝突の様子をカメラとストロボ光源を対向させるバックライト方式で撮影しています。
(法政大学・新井先生,ISAS/JAXA・佐藤先生,熊本大学・川合先生ご提供)
撮影速度:200万コマ/秒
視野幅:約150 mm
CFRPの雷撃試験
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航空機の構成材料として採用が進む炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の被雷による損傷挙動を調べるための雷撃試験の模様です。CFRPの繊維方向に沿って走る雷電流により樹脂が瞬時にガス化する様子を捉えています。
撮影速度:100万コマ/秒
視野幅:約150 mm
超音速風洞実験
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超音速旅客機から発生する衝撃波はソニックブームと呼ばれる轟音を地上にもたらすため,これを低減するための空力設計が研究されています。画像はマッハ2の超音速風洞実験の様子で気流の微妙な変動を高速度カメラによって捉えています。
撮影速度:20万コマ/秒
視野幅:約80 mm
撮像例:半導体分野
・ プラズマ発生装置のプラズマ挙動
・ 半導体デバイスの破壊過程観察
半導体デバイスの絶縁破壊瞬間の観察など故障モード解析にも利用されます。
半導体デバイスの絶縁破壊
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半導体集積回路の基本であるMOS(金属-絶縁膜-シリコン)デバイスの故障発生の様子です。絶縁破壊により金属の薄膜電極が閃光を発しながら絶縁膜から剥離していく様子を捉えています。
(東北大学・須川研究室ご提供)
撮影速度:100万コマ/秒
視野幅:約0.8 mm
撮像例:自動車分野
・ ボディ材の破壊挙動
・ エンジンの燃焼過程
・ 燃料噴射装置の噴射過程
高出力かつ高効率な自動車エンジンを開発するためには,エンジンの構成部品である燃料噴射装置(インジェクタ)の燃料噴射過程や点火プラグによる燃料着火過程などを詳細に観察・解析することが必要となります。
また,軽量で高強度な炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のような新しい材料を用いた自動車ボディの開発が盛んに行われていますが,このような新規材料の開発においては,材料が衝撃を受けた際の変形・破壊挙動を観測し,解析することが必要となります。
また,近年は高速度カメラによって撮影した材料の変形挙動を画像解析ソフトを使って解析し,材料の2次元あるいは3次元歪み分布を動的に解析することも行われています。
その他,エンジンの燃焼プロセスやエアバックの挙動を観察するために,高速度カメラが利用されています。
エンジンの構成部品の観察・解析方法
点火プラグの放電やインジェクタの燃料噴射の様子は,部品単体での観察や可視化エンジンと呼ばれる,内部観察できる窓を設置したエンジンの観察によって,詳細に解析することができます。
自動車エンジンの燃料噴射ノズル(インジェクタ)
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エンジンの燃料噴射ノズルから液体燃料を噴射し,均一な径の微粒子へ変える微粒化過程の解析は,高出力かつ高効率なエンジンの開発に欠かせません。画像はノズル先端の細孔から高速噴射された液体燃料が,円錐状の膜を形成し,液滴へと変化していく様子を捉えています。
(岡山大学・河原先生ご提供)
撮影速度:200万コマ/秒
視野幅:約1.2 mm
燃料の微粒化過程
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燃料噴射ノズルから放出された燃料がノズルから離れるに従って微粒子へ変化していく様子を撮影しています。
(岡山大学・河原先生ご提供)
撮影速度:1,000万コマ/秒
視野幅:約1.2 mm - ノズル出口付近
- ノズルから1mm付近
- ノズルから2mm付近
点火プラグ
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点火プラグの電極間で発生する火花放電の様子を撮影しています。画像の左から右へ向かって噴射されている燃料の影響によって火花形状が大きく曲げられていることがわかります。
(岡山大学・河原先生ご提供)
撮影速度:100万コマ/秒
視野幅:約30 mm
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の高速引張試験
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高速引張試験機によるCFRP破断の様子を捉えました。CFRPは限界荷重で瞬時に破壊するため,その過程を詳細に観察するためには1,000万コマ/秒の撮影速度が必要となります。
撮影速度:1,000万コマ/秒
視野幅:約10 mm
高速引張試験におけるひずみ分布のダイナミック観察
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様々な形状の樹脂試験片の高速引張試験における破壊観察を行い,さらにDIC解析することで試験片表面のひずみ分布を可視化しました。
(1) ダンベル試験片
試験速度:10 m/s
撮影速度:250 kfps
- (2) 有孔試験片
試験速度:10 m/s
撮影速度:1 Mfps -
試験速度:10 m/s
撮影速度:5 Mfps
- (3) 切り欠き試験片
試験速度:10 m/s
撮影速度:1 Mfps -
試験速度:10 m/s
撮影速度:5 Mfps
撮像例:産業機器分野
・ 溶接装置や工作機器の加工過程観察
・ 生産設備の動作エラー解析
エッチング装置やスパッタリング装置などのプラズマ応用機器のプラズマの挙動,レーザ加工機、放電加工機,切削加工機の加工過程などの高速現象の観察・観測に高速度カメラが利用されています。
レーザアブレーション成膜装置
レーザパルスを標的物質に照射すると,物質表面がはぎ取られ(アブレーション),プルームと呼ばれる発光を伴った粒子が飛び出します。レーザアブレーション成膜装置はこの現象を利用しており,膜を形成したい基板を標的物質と対向して配置し,アブレーションによって発生した粒子を基板上へ堆積して製膜します。画像は左から水平に照射されたレーザパルスによるプルームの発生・消滅過程を観察したものです。
(京都大学・田部研究室ご提供)
撮影速度:1,000万コマ/秒
視野幅:約50 mm
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レーザアブレーション成膜装置
撮像例:先端医療機器分野
・ ドラッグデリバリーシステムの薬物放出過程
・ 殺菌,超音波診断に用いられる
・ マイクロバブルの発生・消滅過程
医療・バイオ分野において,マイクロバブルと呼ばれる大きさ1~100ミクロンの微細気泡のダイナミクスを利用した研究が進んでいます。
流体中のマイクロバブルが超音波の照射により膨張・収縮後,消滅する過程において,マイクロジェットと呼ばれる局所的で高速な流れが発生しますが,この現象を利用して細胞に細孔をあけ,遺伝子や薬剤を直接細胞中へ導入する研究が行われています。
マイクロバブルは非常に微細である上,膨張・収縮や崩壊の過程は極めて高速であるため,その挙動の解析には高感度かつ高速なカメラが必要となります。
また,超音波発生装置による超音波の挙動観察などにも高速度カメラが用いられています。
がん細胞に近接する微細気泡の超音波による崩壊過程
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薬剤と微細気泡を封入したマイクロカプセルをがん細胞の近くまで誘導し,超音波照射によりカプセルを破壊して,薬剤をがん細胞中へ導入する,ドラッグデリバリーシステムの研究がすすめられています。画像はがん細胞に近接する微細気泡が膨張・収縮し崩壊する過程で,細胞へ機械的な影響を及ぼす様子を撮影しています。
(北海道大学・人間情報工学研究室ご提供)
撮影速度:1,000万コマ/秒
視野幅:約130 µm
微細気泡の高速収縮
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微小な管の先端で放電により発生した微細気泡が収縮し消滅する様子を捉えています。微細気泡消滅時に発生する高速な流れを利用したマイクロメスなどの応用が研究されています。
(芝浦工業大学・山西研究室ご提供)
撮影速度:100万コマ/秒
視野幅:約0.2 mm
撮像例:コンシューマ機器分野
・ インクジェットのインク吐出過程
・ 強化ガラスの破壊過程
・ プロジェクタに使用されるMEMSデバイスの挙動
モバイル情報機器に使用される強化ガラス等の脆性材料の破壊過程の観察,インクジェットプリンタのインク吐出過程やプロジェクタに使用されるMEMSデバイスの挙動などのミクロ領域における高速現象の観測に高速度カメラが利用されています。
インクジェットプリンタ
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インクジェットプリンタの開発においては,ノズルから吐出される微細なインクを拡大し,その挙動を詳細に観察する必要があり,高速度カメラが用いられます。
(金沢大学・榎本先生ご提供)
撮影速度:500万コマ/秒
視野幅:約0.2 mm
撮像例:その他1
高速度ビデオカメラHPV-X2の様々な撮影例
先端技術の開発,理工学の研究,生物学の研究,品質評価など,高速度撮影が必要とされるあらゆる分野において,従来では確認できなかった現象を見ることができます。
クラック進展(ガラス)撮影速度:1,000万コマ/秒
- 高速飛翔体の衝突によってガラスが破壊され,クラックが高速に進展していく過程が明瞭に観察できます。
フラッシュ点灯の瞬間 撮影速度:1,000万コマ/秒
- キセノン・フラッシュランプが点灯する瞬間に,点灯時のスパークの伝搬過程と,ランプ陰極から気体が発生する様子が観察できます。
CFRPの高速引張試験 撮影速度:1,000万コマ/秒、500万コマ/秒
- CFRP片の高速引張試験機による材料試験において,試験片が短冊状に分裂した後に瞬間的に断裂する様子が詳細に観察できます。
(試験速度10m/s)
ウォータージェット 撮影速度:400万コマ/秒
- ノズルから高速に噴射された液体が細かい水滴になって霧散していく過程が詳細に観察できます。
MEMSの高速動作 撮影速度:500万コマ/秒
撮像例:その他2
インクジェットの吐出 撮影速度:500万コマ/秒
- 撮影概要
プリンタヘッドの先端ノズルから吐出された液体試料を観察し,試料が液滴に形状変化する過程や必要としない飛沫の発生状況をHPV-X2で撮影。微小領域を拡大撮影するので高速度ビデオカメラが必要となります。 - 応用分野
プリンタブルエレクトロニクス関連製品の研究開発
高速飛翔体の衝突 撮影速度:1,000万コマ/秒
- 撮影概要
二段式軽ガス銃から約3km/sの速度で射出された樹脂弾が,ターゲットに高速衝突する瞬間を,HPV-X2により撮影。衝突によりプラズマ化した樹脂弾の強い発光と,爆発的拡散が確認できます。 - 応用分野
宇宙開発におけるスペースデブリからの保護機構の研究開発。宇宙物理学における隕石衝突の解明。
樹脂球の高速衝突 撮影速度:200万コマ/秒,500万コマ/秒
- 撮影概要
二段式軽ガスガンから約3.5km/sの速度で射出された樹脂球を透明な樹脂ブロックへ撃ち込み,高速衝突によりブロック内部に生じた応力波の伝播や,亀裂の進展をHPV-Xで撮影。 - 応用分野
材料の破壊機構の解明。
- 64us間の現象をスロー再生
- 51.2us間の現象をスロー再生
撮像例:その他3
過電流によるLEDの破壊進展
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- 最高1,000万コマ/秒の超高速連続撮影
- 超高速度で高解像度撮影が可能
FP mode : 400×250 pixel (to 5 M fps,)
HP mode : 50,000 pixel (to 10 M fps,) - 最大撮影枚数128/256コマ
FP mode : 128 frame (to 5 M fps,)
HP mode : 256 frame(to 10 M fps,
ミルククラウン
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- 最高1,000万コマ/秒の超高速連続撮影
- 超高速度で高解像度撮影が可能
FP mode : 400×250 pixel (to 5 M fps,)
HP mode : 50,000 pixel (to 10 M fps,) - 最大撮影枚数128/256コマ
FP mode : 128 frame (to 5 M fps,)
HP mode : 256 frame(to 10 M fps,
極超音速球体による燃焼波・爆轟波の着火 , 爆轟(ばくごう)の伝播
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- 最高1,000万コマ/秒の超高速連続撮影
- 超高速度で高解像度撮影が可能
FP mode : 400×250 pixel (to 5 M fps,)
HP mode : 50,000 pixel (to 10 M fps,) - 最大撮影枚数128/256コマ
FP mode : 128 frame (to 5 M fps,)
HP mode : 256 frame(to 10 M fps,