Shim-pack UCシリーズ - 特長
超臨界流体クロマトグラフ用カラム
メソッドスカウティングに有効な幅広い分離選択性
超臨界流体二酸化炭素がヘキサンと同程度の疎水性を有しているので,超臨界流体クロマトグラフィー (SFC) の主な分離挙動は順相モードであると一般に言われています。さらに,選択する固定相により,HPLC同様に静電気的相互作用やπ-π相互作用などの別の相互作用も働きます。
極性が中程度の化合物であれば,20種類のすべてのカラムをお使いいただけます。下図に示した典型的な酸性・中性・塩基性化合物を使った分析においては,固定相の種類によって保持挙動が大きく変化していることが分かります。分析対象化合物との相互作用が期待できる固定相を選択すると,保持を強くすることができます。
SFCの主な分離モードは順相であるため,順相系のUC-Diol / UC-Diol IIのカラムがファーストチョイスとして広く使われています。エチルピリジン系カラムと類似した挙動を持つUC-Pyがそれに続きます。
また,SFCでは使用する移動相がHPLCよりも限られます。分離選択性を変更する際は,用いるカラムを変更することが有効です。SFCでのカラムスカウティングの際は,豊富なShim-pack UC シリーズの中でも以下の「6本カラムセット」の使用がファーストトライとしてお勧めです。
UC-Diol/UC-Diol Ⅱは汎用性が高く,リン脂質のような脂質類から極性化合物であるペプチドまで様々な化合物の分析にお使いいただけます。一方,リン脂質を分子種別に分離する場合は同様のモディファイアー条件においてODS基を固定相とするShim-pack UC-ODSやShim-pack UC-GISⅡなどを用いる必要があります。
異性体やHPLCで分離が難しい化合物を,SFCで分離できる可能性があります。特異的または複数の相互作用が働くカラムは,分離改善に貢献します。平面認識能が高いUC-PolyBTやBrとの分散力が働くUC-PBrが有力です。
ぎ酸などの酸や,アミン類などの塩基の添加により,対象成分のイオン化の抑制または固定相の副次的な官能基のマスキングにより,ピーク形状の改善効果が得られます。一方で,分取の際は,分画したものの利用目的によっては添加剤を使用しない方が望ましいことがあります。Poly(4-Vinylpyridine)をシリカゲル担体に結合したUC-PolyVPは,酸・塩基無添加条件でも良好なピーク形状を得ることができます。
低極性から高極性まで分析可能範囲の拡大
一般には,脂肪酸の分析にはGC,グリセリドの分析にはHPLCというように,異なる分離手法が用いられます。超臨界流体二酸化炭素がヘキサンと同程度の極性を有することから,SFCは低極性化合物の分析に適しています。UC-HyPを用いることで,脂肪酸からグリセリドまで一斉分析が可能です。
アミノ酸のような高極性化合物についても,適切な固定相とモディファイアーを選択することにより分析することが可能です。UC-Amideを用いるとアミノ酸を誘導体化なしに分析でき,誘導体化の手間を省くことができます。
異性体やHPLCで分析困難な化合物の分離に威力を発揮
PAHは,AnthraceneとPhenanthreneのような異性体を複数含み,質量分析計では分離できないため,クロマトグラフィーで分離する必要があります。UC-Cholesを使用すると,5組の異性体をすべて分離できます。コレステリル基の剛直な固定相構造が分子形状の認識に寄与すると考えられます。