より高感度に

ミクロ流量LC/MSシステムNexera Mikros™

LC/MS分析はイムノアッセイ法よりも定量値の正確さや信頼性に優れ,今や生体試料中の低分子化合物の定量に欠かせない手法です。一方,生体試料中における代謝物分析など対象化合物の含有量が低い場合,スループットや安定性,頑健性に優れる一般的なセミミクロ流量LC/MS分析では感度が及ばないことがあります。LC/MS分析の感度向上には,移動相流量およびカラムサイズの縮小が有効であることが知られていますが,ナノ流量LC/MSは高感度が得られる代わりに,熟練が必要とされる操作性と,セミミクロシステムに比べてスループットや頑健性が劣る点がトレードオフとなります。内径0.1~1 mm程度のカラムと数~数十μL/minの移動相流量を用いるミクロ流量LC/MS分析は,高感度でありながらスループットや頑健性も維持した手法です。島津ミクロ流量LC/MSシステムNexera Mikrosは,ミクロ流量域においても安定したパフォーマンスを提供する独自の送液機構,ミクロ流量に最適化されたイオン源設計などがこれまでにない高感度分析を実現します。また,ユニークなカラム着脱機構UF-Linkは,簡単操作でミスなくカラムを取り付け,予期しない感度低下を防ぎます。さらに,多様なシステム構成が幅広いアプリケーションに対応します。

バイオアナリシスにおける高感度分析

Nexera MikrosによるビタミンD代謝物(1,25-dihydroxyvitamin D: 1,25(OH)2 および 24,25-dihydroxyvitamin D: 24,25(OH)2)の高感度LC/MS/MS分析例を示します。Nexera Mikrosは,セミミクロLC/MS/MSシステムに比べ3~6倍の感度向上を実現しています。

バイオアナリシスにおける高感度分析01

バイオアナリシスにおける高感度分析02

Therapeutic windowが狭く濃度個人差も大きな血漿中抗不整脈治療薬の定量にも,ミクロLC-MSシステムによる分析は優れた効果を発揮します。Nexera Mikrosによる分析では,ベラパミルおよびノルベラパミルの信号強度が増大し,SN比はそれぞれ5倍,および4倍向上しました。

バイオアナリシスにおける高感度分析03

バイオアナリシスにおける高感度分析04

抗体分析の新たなプラットフォーム — Nexera Mikros × nSMOL™ Antibody BA Kit —

nSMOL法は,モノクローナル抗体のFab領域選択的なタンパク質分解を可能にした当社独自の画期的な手法で,バックグラウンドノイズやイオンサプレッションの増大を回避でき,分析系の再現性や堅牢性を向上させることが可能となります。また,標準化されたプロトコールは抗体の種類を選ばず,さまざまな抗体医薬品でご使用いただけます。
Nexera MikrosとnSMOL Antibody BA Kitにより,抗体医薬品のさらなる高感度定量が可能となります。

抗体分析の新たなプラットフォーム01

下記のデータは,血漿中の抗体医薬品の分析例です。サンプルは,トラスツズマブをスパイクインした血漿を用い,nSMOL Antibody BA Kitを使用して前処理しました。
Nexera MikrosによるSignatureペプチドの分析の結果,0.00763~62.5 μg/mLの範囲で定量でき,直線性もR2>0.99以上,かつ平均真度が101.0%と良好な検量線が得られました。

抗体分析の新たなプラットフォーム02

直線性(0.00763~62.5 μg/mL)

抗体分析の新たなプラットフォーム03

クロマトグラム(4 μL/min)

下表にトラスツズマブ由来ペプチド分析の日内再現性をまとめました。
LLOQレベルで平均真度,精度ともに20%以内,それ以外の濃度でも15%以内に収まり良好な再現性を示しました。

設定濃度
(μg/mL)
QC set 1∗2 QC set 2∗2
正確さ 再現性 正確さ 再現性
0.00763 97.1% 5.69% 100% 11.3%
0.0229 102% 6.68% 101% 2.84%
5.86 106% 2.67% 99.4% 3.12%
50.0 94% 6.36% 91.7% 7.23%

QCサンプルを使用した日内再現性の評価結果

∗1 対数表示をしています。
∗2 QC set 1とQC set 2の分析は2日に分けて,各濃度セットは5回ずつ分析を行いました。

堅牢性はそのままに

高感度と堅牢性を兼ね備えたシステム

下記のデータは,3倍希釈した除タンパク血漿サンプルを1,500回注入し,その間50回注入ごとにQCサンプル(40 pg/mL,Nortriptyline)を分析して,面積値をプロットしたものです。計1,500回の血漿サンプル分析後でも面積値再現性は4.38%,保持時間安定性は0.25%と非常に安定した結果を得ることができました。また,連続分析前後でもピーク形状の崩れはありませんでした。ルーチンでの薬物血中濃度定量に代表される夾雑成分を含む試料の連続測定においても,優れたデータ安定性を維持することができます。さらに,新しいイオンガイドUF-Qarray™ IIとUF-Lens™ IIを搭載したLCMS-8060NXは,堅牢性の向上と装置ダウンタイムの最小化を実現します。
∗当社試験条件による

高感度と堅牢性を兼ね備えたシステム01

QCサンプルの面積値再現性

高感度と堅牢性を兼ね備えたシステム02

QCサンプルの保持時間安定性

高感度と堅牢性を兼ね備えたシステム03

1,750,1500回目のクロマトグラム

より使いやすく

誰でも簡単に,安定した感度向上を実現する

Micro-ESI™ Sources

ミクロ流量用イオン化ユニットMicro-ESI 8060は,簡単に脱着およびメンテナンスが可能な従来のイオン化ユニット構成はそのままに,試料導入部に対するプローブ角度をミクロ流量向けに最適化しました。イオン化効率,イオン取り込み効率が向上し,高感度化を実現します。また,余分な溶媒を除去し汚れによる影響を低減して,安定した分析を可能にします。

Micro-ESI 8060

Micro-ESI 8060
(LCMS-8045/8050/8060(NX)にも使用可能です。)

Micro-ESI 9030

Micro-ESI 9030

CTO-Mikros™ + UF-Link™: 簡単かつミスのないカラム着脱

ミクロ流量では,わずかなデッドボリュームでもサンプルが拡散し,感度ロスにつながります。ESIイオン化ユニットに直結するカラムオーブンCTO-Mikrosと,カラム接続機構UF-Linkは,ゼロデッドボリュームのカラム接続を可能にする新機構です。カラムをオーブン内にセットしレバーを倒すだけで,簡単にカラムを装着できます。最大150 mmの長さのカラムも接続可能です。

〈従来のフェルールシール方式〉

〈従来のフェルールシール方式〉

〈ゼロデッドボリューム方式〉

〈ゼロデッドボリューム方式〉

〈接続手順〉

接続手順01

カラムにアダプタを取り付けます。
アダプタはユニファイネジで,幅広い種類のカラムに取り付け可能です。

接続手順02

カラムをオーブン内のUF-Link機構に設置します。

接続手順03

レバーを倒して接続完了です。

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