LCMS-8060NX - 特長
トリプル四重極質量分析計
島津トリプル四重極型質量分析計の集大成LCMS-8060NX
IonFocusユニット
新開発のフォーカス電極によりイオンのみを効率よく質量分析計内部に導入できます。夾雑成分は除去されるので,汚れによる影響が少なく,安定した分析が可能です。
さらに,改良された新加熱アシスト型 ESI プローブを搭載。脱溶媒効率がさらに向上し,幅広い化合物のイオン化を促進します。
UF-QarrayⅡ
UF-LensⅡ
高い収束力はそのままに,さらに頑健性が向上しました。UF-QarrayⅡとUF-LensⅡも工具無しでかんたんメンテナンスが可能です。
メンテナンスが簡単なインターフェイス部
「かんたんメンテナンス」を従来機から継承。サンプルを真空部へ導入するDL(Desolvation Line)やESIキャピラリーが短時間で簡単に交換できます。DLも真空状態のまま交換でき,分析のダウンタイムを最小限にとどめることが可能です。
- DLの交換ステップ
- ESIキャピラリーの交換ステップ
頑健性と操作性を兼ね備えた超高速高感度分析
高速性を維持しつつ,感度と回収率を両立
新開発のIonFocus ユニットでは,フォーカス電極により夾雑物を除去することでマトリクス効果による感度低下を緩和します。
下図は,農産物中の残留農薬の分析例です。LCMS-8060NXが誇る世界最速クラスの極性切替時間とデータ取込時間を活かし,多成分高速分析においても安定したデータが得られました。さらに,IonFocus ユニットにより,イオンのみを効率的に導入するため,シグナル強度が向上しました。また,100成分中96成分で良好な回収率(70-120%)が得られました。
新技術による頑健性の向上
LCMS-8060NXの優れた頑健性は、装置を汚染しやすい生体由来のサンプルの連続分析に威力を発揮します。下記データは、ヒト血漿中に添加したアルプラゾラムを連続分析し、面積値と面積比(内部標準物質:アルプラゾラム-d5)をプロットしたもの です。より過酷な条件で頑健性を評価するため、バルブを用いた夾雑成分の除去は行わず、合計15,000回の連続測定を行いました。結果は下図に示すように、面積値再現性1.79 %RSD、面積比再現性 1.71%RSDという非常に安定したデータを示しました。このようにLCMS-8060NXは、尿や血液に代表される夾雑成分を多量に含む試料の連続測定においても抜群のデータ安定性を維持します。
脱溶媒効率の改善による,より高感度な分析
LCMS-8060NXでは,ESIヒータの熱効率の改善とヒーティングガス流量の上限値の拡張により,脱溶媒の効率が向上しました。そのためステロイドホルモンのようなイオン化しにくい化合物の,さらなる高感度分析が可能となります。
以下に脱溶媒効率改善によるステロイドホルモンの感度向上を示します。最適なイオン化条件を設定することで,LCMS-8060NXでは従来装置と比較して,シグナル強度が向上しました。
ワークフロー全体を効率化,分析から解析までトータルサポート
LCMS-8060NXとNexera™シリーズを組み合わせることで「Analytical Intelligence」機能を備えたシステムが,分析準備から解析までワークフロー全体を効率化し,分析のスループットを最大化します。
設定時刻に自動起動・分析準備
Nexeraシリーズでは,パージやカラム平衡化などの装置のコンディショニングを自動で行い,指定時間に分析を開始できます。
カラム平衡化時にオーブン温度が低い場合には,自動で流量を落としてカラムの劣化を防ぐ(FlowPilot機能)など,種々のAnalytical Intelligence機能が分析のクオリティを支えます。
解析のスループットを向上
複数のクロマトグラムを同時に確認できる機能や,設定した基準値を超えた結果を色分けして表示する機能が多検体多成分の解析にかかる時間を大幅に削減します。また,レポートフォーマットは複数のテンプレートがあらかじめ用意されており,レポート作成の手間を削減します。
MS条件の最適化は自動で実施
MRMやインターフェイスパラメータの最適化はサンプルをセットし,化合物の情報を入力するだけで自動で行います。結果はグラフィカルに確認することができ,最適化にかかる手間と時間を削減します。
LC/MS/MS メソッドパッケージ,MRMライブラリ
スムーズな多成分一斉分析を実現するための,各種メソッドパッケージをご用意しています。分離条件やMRM最適化検討をすることなく,目的の分析を始めることができます。
サンプル前処理での負荷を軽減
オートサンプラSIL-40シリーズには様々な前処理機能があります。グラフィカルな画面で簡単に設定でき,共注入や誘導体化などの前処理の負荷軽減,精度向上が可能です。
分析から解析までトータルサポート
LabSolutions Connect™/ LabSolutions Insight™
MS条件の最適化から定量解析までの一連の流れをサポートし,業務効率を最大限高めます。
プロジェクト管理機能でファイル管理の負担を軽減
プロジェクト管理機能により,プロジェクトごと,ユーザーごとに簡単にファイルを管理できるようになりました。ファイルの取り違えなどの操作ミスを低減します。ファイルの保存先は,ファイルの種類ごとに自動で決まるため,ファイルパスを意識することなく,分析や解析を行うことができます。
また,分析結果を分析メソッドとは別の解析用メソッドファイルで解析し,その結果を解析結果ファイルに保存できるようになりました。この機能により,同じ分析結果に対して,複数の解析結果を保存することが可能になり,様々な解析パラメータでの解析が容易になりました。
全自動最適化でMS条件の最適化にかかる手間を削減
MRMパラメータ(プリカーサイオンm/z,プロダクトイオンm/z,各種電圧など)とインターフェイスパラメータ(ガス流量,温度条件)を自動で最適化できます。極性,アダクトイオン,価数も考慮して網羅的に探索することで,測定したい成分が最も高感度で測定できるMS条件を1回の最適化で得ることができます。
また,上記の最適化結果は,データブラウザ機能でグラフィカルに確認することができます。MRMパラメータの最適化結果画面では,クロマトグラム,スペクトル,各種電圧を同時に確認できます。インターフェイスの最適化結果画面では,各パラメータ変更時における,シグナル強度の変化を確認することができます。
シンプルなメソッド作成画面とグラフィカルなバッチ作成画面で操作ミスを低減
自動で探索された最適化結果は,専用のデータベースに保存されます。データベースから測定したい成分のみを選択し,簡単に分析メソッドを作成できます。また,データベースには既存のメソッドファイルの情報も取り込むことができるため,今まで作成したメソッドファイルの情報をデータベースで一元管理することが可能です。
分析バッチ作成画面ではバイアルポジションをグラフィカルに設定・確認できます。サンプルの種類・ポジションが正しいかを視覚的に確認することで,操作ミスを低減します。また,プロジェクト管理機能によって,バッチファイルもプロジェクト単位で管理されているため,誤って別のプロジェクトのファイルを上書きすることもありません。
多彩なデータ表示機能により,解析のスループットを向上
対象化合物ごとや測定データごとに表示したり,定量値や面積値を一覧表示したりすることができ,ワークフローに応じて確認しやすい表示方法を選択できます。また,サーベイ画面ではクロマトグラムを複数並べて直感的にピークの強度確認や修正を行うことができ,データ解析時間を大幅に低減することができます。
フラッギング機能を利用して設定した基準値を超えた結果を色分けして表示したり,フラグがついている結果のみを表示したりすることができ,定量・精度管理結果を視覚的に分かりやすく表示します。定量結果に対する基準値は5段階で表すことができ,検出された化合物が基準値に対して,どの範囲に属するかを簡単に確認することができます。レポート出力するためのテンプレートも複数用意されているほか,使用用途に合わせてテンプレートを修正・追加できるので,試験ごとにカスタマイズして運用することが可能です。
Smart Data Reductionモードでは,従来のLabSolutionsデータファイルに加えて,新たな生データファイルフォーマットlrdz形式をサポートしています。従来のデータ形式と比較して80%にサイズを削除しています。lrdzファイルは、LabSolutions insightで処理が可能です。解析結果はiprocファイルとして保存されます。