TOCによる工場排水の上流監視

工場など事業場排水に含まれる有機性汚濁物質の監視は,水質総量規制など排水規制への対応や環境対策の点で不可欠なものとなっています。排水基準などの環境規制では,河川,湖沼,海域などの環境水域に放流される,最終排水が規制対象であり,これより上流の排水に対する規制はありません。しかし,工程上のトラブルや作動油等の排水への混入などがあると,河川,湖沼,海域などへの最終放流水を監視するだけでは,水質汚濁事故を防ぎきれない場合があります。
そのため,有機物を迅速,確実に検出できるTOC計を利用した,水質汚濁事故の未然防止を目的とする 排水の上流監視 が注目され,石油化学,鉄鋼,自動車関連など,様々な大規模工場で導入が始まっています。
上流監視の必要性
- 異常排水の早期発見による「水質汚濁事故の未然防止」
最終放流水の監視で異常排水が見つかっても,異常排水の環境中への放出を防ぐのに間に合わないかもしれません。排水をより上流側で監視することで,異常排水の環境への放出を未然に防ぐことができます。 - 排水処理の負荷軽減
構内の各工場,あるいは排水処理の各段階で監視することで,処理の必要な異常排水の量を必要最小限とし,排水処理の負担を軽減が可能となります。また,排水処理施設に流入する排水の汚濁量を監視することで,排水処理負荷の適正化を図ることができます。
特長
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有機性汚濁の監視には,TOC計以外にもCOD計やUV計が水質自動計測器として使用されますが,上流監視の目的である 水質汚濁事故の未然防止 という観点から, 迅速性 や 異常排水の確実な検出 が重要と考えられます。
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排水処理には色々な方法(ろ過,ばっき処理,沈殿処理,活性汚泥処理,凝集沈殿,加圧浮上など)があり,環境中へ放流する前の最終処理施設を排水処理施設,その中間での一部の処理をする設備を処理施設としています。