粉博士のやさしい粉講座:実践コース

 

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実践コース:測り方疑問解決編
 
比表面積/細孔分布測定装置
5 吸脱着等温線その2(ヒステリシス)
粉博士イラスト 図1に示したIUPACによる吸脱着等温線の分類1)のうち、特にIV型、V型の等温線では吸着と脱着のプロセスが一致しない現象が特徴的に見られます。これがヒステリシスと呼ばれています。このヒステリシスは、主としてメソポア領域での毛管凝縮と密接に関連するといわれています。  
  図1 吸脱着等温線のIUPAC分類  Adsorption/Desorption Isotherm Classifications
図1 吸脱着等温線のIUPAC分類
Adsorption/Desorption Isotherm Classifications
 
  細孔の形状としては、円柱、スリット、インク瓶型、球形粒子の凝集によって生じた空隙など、様々なモデルを仮定することができます。その個々の細孔形状のモデルが、どのような凝縮と蒸発の不可逆なプロセス、すなわちヒステリシスのパターンを描くかについて多くの研究がなされています。2)これらの研究成果を用いれば、逆にヒステリシスのパターンから細孔の形状や構造を類推する手掛かりを得ることができるわけです。ただし、ヒステリシスのパターンは多種多様であり、これを細孔の形状や構造と関連付けることは、簡単な作業ではありません。
通常、吸脱着等温線の低圧部では、吸着と脱着のプロセスが一致し、ヒステリシスがループを描きます。このヒステリシスループの閉じる点(図1参照)における相対圧が吸着温度と吸着ガスの組み合わせによって決まるという現象(tensile strength effect、液体窒素温度での窒素吸着の場合、相対圧0.42付近)2)など興味深い学説も多く提唱されています。
また、閉じる点がないようなヒステリシスパターンも例外的にあり、これは低圧ヒステリシス(low pressure hysterisis)と呼ばれます。
ヒステリシスパターンの分類として、IUPACの分類 1)を図2に示します。
破線で示したのが低圧ヒステリシスの場合です。
 
  図2 ヒステリシスパターンの分類  Hysterisis Classifications
図2 ヒステリシスパターンの分類
Hysterisis Classifications
 
  H1型の場合は吸着側と脱着側が殆ど鉛直な平行線を描いています。H4型の場合は吸着側と脱着側が殆ど水平な平行線を描きます。H2型、H3型の場合はH1型とH4型の中間的なパターンを示すものになっています。
H1型は、大きさの揃った球形粒子の凝集体(あるいはその塊)の場合に見られるヒステリシスパターンです。H2型は、シリカゲルなどの例で見られるものですが、細孔径や細孔形状を特定することがが難しいヒステリシスパターンとなっています。
H3型あるいはH4型は、スリット型細孔の存在を示すヒステリシスパターンです。
H3型は平板状粒子の凝集体などにも見られるヒステリシスパターンです。
H4型は等温線のI型同様マイクロポアが存在する場合に見られることがあります。
このように、吸脱着等温線におけるヒステリシスパターンは、細孔の形状や構造を究明する為の重要な情報源になっているわけです。

参考文献
1)K.S.W.Sing et al:Pure Appl. Chem.,57,603(1985)
2)S.J.Gregg,K.S.W.Sing:Adsorption,Surface Area and Porosity,Academic Press,London,2nd edition(1982)

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