粉博士のやさしい粉講座:実践コース

 

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実践コース:測り方疑問解決編
 
比表面積/細孔分布測定装置
比表面積/細孔分布測定装置
粉博士イラスト 吸着(adsorption)とは、ガス分子が気相から固体表面に取り去られる現象であり、その原因から、物理吸着(physisorption)と化学吸着(chemisorption)に分類することができます。物理吸着は、低温での分子間力による吸着で、一般に可逆変化となります。 一方、化学吸着は高温での化学的作用に基づく吸着で、一般に不可逆変化となります。主に比表面積や細孔分布測定法として利用されるのは、前者の物理吸着の方であり、金属触媒の金属分散度などの測定には後者の化学吸着の方が利用されています。但しこの両方が混在する吸着現象もあるので注意する必要があります。 なお、一般的には、吸着温度が一定であれば、吸着するガス分子の数は、圧力にのみ依存し単調性を有しています。(図1)  
  図1 物理吸着プロセス
図1 物理吸着プロセス
Physical Adsorption Process
 
  吸着している分子が気相に戻ることを脱着(desorption)と言います。 一定圧力で吸着の進行が止まったように見える状態(吸着分子数=脱着分子数)を吸着平衡(状態)と言い、そのときの圧力を吸着平衡圧と言います。 また、吸着平衡圧と飽和蒸気圧の比のことを相対圧(relative pressure)と言います。この相対圧は、0~1の値をとります。 圧力を変化させ、そのときの吸着量を測定し、その結果を、横軸に相対圧、縦軸に吸着した量をとってプロットしたものを等温線(isotherm)と言います。特に圧力増加の方を吸着側等温線、圧力減少の方を脱着側等温線というように区別します。 等温線は、細孔の有無やその大きさ、吸着エネルギーの大小などによりその形が変わります。
図2にIUPACの等温線分類1)を示します。
 
  図2 吸脱着等温線のIUPAC分類
図2 吸脱着等温線のIUPAC分類
Adsorption/Desorption
Isotherm Classifications
 
  I型はマイクロポア(2nm以下の細孔)の存在の可能性を示し、IV型とV型はメソポア(2~50nmの細孔)の存在の可能性を示しています。
II型とIII型は細孔が存在しないかまたはマクロポア(50nm以上の細孔)の存在の可能性を示しています。
VI型は稀なタイプで、細孔の無い平滑表面への段階的な多分子層吸着を示します。
III型とV型は、ガス分子と固体表面の相互作用が(ガス分子同士の相互作用と比べて)弱い場合で、比表面積や細孔分布の測定には不向きであると言われています。
図中のIV型とV型で見られるような、吸着側と脱着側の不一致(ヒステリシス)についてもいくつかのバリエーションがあります。 比表面積や細孔分布の測定を行う際に最もよく使用されるのが、液体窒素温度における窒素ガスの吸着です。この窒素吸着では殆どの場合、I型、II型、IV型のいずれかの形になります。
いずれにせよ、ガス吸着法で試料のキャラクタライズを行う場合は、等温線を測定することが基本となります。比較的高圧領域の挙動からメソポアやマクロポアの情報が得られ、低圧領域の挙動からマイクロポアもしくは比表面積に関する情報が得られます。
つまり、等温線の全域あるいは目的に応じた部分を測定すれば、後は数値解析により各種物性を導き出すことができるわけです。

参考文献
1)K.S.W.Sing et al:Pure Appl. Chem.,57,603(1985)
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