粉博士のやさしい粉講座:初級コース

 

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11 ナノテクノロジー
比表面積測定によるナノ粒子の大きさの評価
高純度の電子材料、触媒、半導体製造プロセスなど様々な分野で、現実に数十ナノメータサイズの粒子が使用されるようになってきました。
これらのナノ粒子の開発や品質管理においては、もちろん、その大きさを評価する必要がありますが、これがなかなか一筋縄ではいきません。
図 1 粒子の状態
図 1 粒子の状態
 
粒度分布測定装置で粒子の大きさを測定する場合、図1(a)に示すように、粒子が一個一個バラバラの分散状態でなければ、一次粒子の測定はできません。(b)のように凝集状態であれば、凝集した状態の粒子(二次粒子)の大きさを測定することになってしまいます。
一般的に、粒子の分散状態は、分散媒の種類、分散剤(界面活性剤等)の種類・濃度、分散手法、粒子濃度等に大きく依存します。金属化合物のナノ粒子の場合、分散性を改善するために添加する分散剤の濃度が少し変わるだけで分散状態が大きく変わることがあります。
また、化合物ではなく純粋な金属ナノ粒子になると、さらに分散が難しくなる場合があります。
図 2 凝集粒子
図 2 凝集粒子
 
また、図2に示すようなサンプルAおよびBを考えた場合、一次粒子としての大きさはAの方が大きいわけですが、凝集した状態(二次粒子)の測定となると、Bの方が大きいという測定結果になってしまいます。
そこで、凝集状態に依存せずに、一次粒子の大きさを客観的に評価したいという強いニーズが生まれてくるわけです。
この解答の一つとして、ガス吸着法による比表面積測定が考えられます。
粒子が球形であると仮定した場合、比表面積sと粒子径(直径)dの間には、(1)式の関係が成り立ちます。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (1)
 
ただしρは密度を表わしています。
01)式を、比表面積から粒子径を求める式に変形すると

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (2)
となります。したがって、理想的には、ガス吸着法によって、比表面積を測定し、(2)式に適用すれば粒子径が求められることになります。
現実に存在する粒子は、球形ではなく、また、複雑な表面構造のものが多く、(2)式の適用には、問題が大きいわけですが、ナノ粒子では、大きな粒子に比べると粒子の表面構造が比較的単純なものが多いので、厳密には(2)式を適用できなくても、比表面積と粒子径との間に一定の相関が期待できる場合があります。
 
例えば、粒子径の分布幅が30~50nm(ナノメートル)程度の酸化チタンのサンプルを測定した場合、比表面積は約38m2/gで、この比表面積から計算された粒子径が約38nmとなります。この場合についてはよく一致していますが、いつもこのように一致するとは限りません。
もう少し粒子径の大きい、5種類(2μm、4μm、8μm、14μm、30μm)の白色溶融アルミナのサンプルで試してみると、比表面積から計算される粒子径は,実際の粒子径に比べて1/4~1/6というようにかなり小さくなってしまいます。この場合は、大きさの順番は保たれます。

 
このように、比表面積による粒子径の評価は、直接的な粒子径の測定とは異なりますが、凝集状態のままで、一次粒子の大小関係を評価できるという可能性があります。、比表面積測定によるナノ粒子の粒子径評価を単独で用いることは危険ですが、限界を熟知したうえで他の手法と併用して用いれば、有効な手段であり、実際に採用されているケースも少なくありません。
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