LC-MSで叶えるワンランク上のLC分析 そのクロマトグラム,もっと正しく解析しませんか? Webinar Q&A

  • Webinar

 

■導入に関するご質問

Q : LCMS-2050を導入する際に必要な電源は窒素発生装置含め全て100V で大丈夫ですか?また総電源容量はどの程度になりますか?

A : 全て100Vで稼働いたします。
LCMS:100V/15A。窒素発生装置も複数ラインナップしておりますが,いずれも100Vで低容量です。
※上記にLCは含まれません。

Q : LCMS-2050を接続可能なLC装置についての質問です。前機種であるLCMS-2020が接続できていた機器には基本的に接続できるという理解で問題ないでしょうか?また分取システムには対応していますか?

A : LCMS-2020が接続可能なLCには基本的に接続可能です。また既存のLCにも接続可能であり,分取システムにも対応しています。
※特注システムの場合は,事前に弊社にご確認ください。

Q : LCMS-2050は以前からあるLC(Prominence)や一体型LCなどにも増設可能でしょうか?

A : Prominenceにも,一体型LCのLC-2030 3D Plusなどにも増設可能です。その他のシステムにも増設可能ですので,詳細は営業にお問い合わせください。
https://www.an.shimadzu.co.jp/lcms/lcms2050/features.htm

Q : 他社製品のソフトウェアでもLCMS-2050の制御は可能でしょうか?

A : 弊社LCMSは他社ソフトでの制御はできませんので,LabSolutionsをご使用ください。

Q : LCMS-2050のサイズ(奥行),重量はどれくらいでしょうか?

A : 装置サイズは幅26cm,高さ28cm,奥行きは65cmです。
重量は34kgです。
弊社のオートサンプラであるSIL-40Cと同じ奥行です。

Q : LCMS-2050はコンパクト,100V電源で設置しやすいとのことですが,付帯設備はなにが必要でしょうか。

A : 窒素発生装置と外付けの粗引き用の真空ポンプが必要です。
窒素発生装置は100Vで動作可能です。粗引き用の真空ポンプは装置から電源を供給するため,新たな電源設備は不要です。いずれも,従来のLCMS装置のものと比較し小型のものが使用可能です。

Q : 窒素発生装置のサイズはどの程度でしょうか?

A : ガス使用量も従来装置より少なく設計しており,小型の窒素ガスジェネレータをご用意しています。実験机の下に置いて頂けるサイズもあり,電源電圧も100Vで駆動します。

Q : LCMS-2050の真空ポンプは本体に内蔵されているのでしょうか?それとも装置外部に設置されているのでしょうか?

A : LCMS-2050では真空ポンプを2台使用しています。装置内部の高真空ポンプと,装置外部の粗びきポンプです。粗びきポンプは装置外部に設置しますが,実験台の下や,実験台の裏に設置可能なサイズとなっています。

Q : LCMS-2050の窒素使用量はどの程度でしょうか?

A : 最大15L/min使用します。
LabSolutionsはエコロジーモード機能を備えており,一定時間装置が稼働していなかったら,窒素ガスをOFFにして使用量を低減する運用が可能です。

■使い方に関するご質問

Q : 装置ダメージはどういったときに起こりやすいでしょうか?また,ダメージを装置に与えないためには何に気を付ければ良いでしょうか?

A : 濃いサンプル,汚れたサンプルを打つと装置にダメージがあります。
そのようなサンプルは希釈する,フィルタを通す,前処理を行うなどを行うことでダメージ軽減ができます。また,MSへの導入直前で分岐(スプリット)して,汚れの原因の導入を減らす方法もあります。

Q : LCMS-2050の装置校正は立ち上げ時に毎回行う必要がありますか?

A : 毎回実施する必要はありません。
使用状況にも寄りますが,装置内部のメンテナンスが必要となるタイミング,概ね半年~1年に一度程度が目安です。
従来のLCMSでは校正のタイミングをお客様で判断が必要でしたが,今回紹介させていただいたパフォーマンス・コンシェルジュ機能により,装置状態のチェックや校正が必要かどうか,自動的に判定することも可能です。

Q : LCMS-2050でESIとAPCIを同時に使用する際(DUIS)の最適移動相流量はどの程度でしょうか?

A : 装置仕様は1uL/min~3mL/minです。
最適流量は0.2mL/min~1mL/minと一般的なセミミクロからコンベンショナル条件でご使用いただけます。

Q : LCMS-2050は高速でのデータ取得により分析時間の短縮が可能と伺いましたが,m/zで得られるデータは解析時にポジ,ネガの両方のデータの取得が可能なのでしょうか?

A : 正イオン⇔負イオンデータ採取を10msecと高速に切り替えながらデータ採取が可能です。(非常に高速に切り替えて測定できますので同時測定している形になります)。島津独自のUFMS(Ultra Fast MS)技術により高速でのデータ採取が可能となっています。
データも1つのデータファイルにポジとネガのデータが含まれますので,解析時も両方のデータを参照・解析可能です。

Q : LCMS-2050の測定レンジはm/z 2~2000との事ですが,一度に取得できるレンジはどの程度でしょうか?たとえばm/z 100~2000等,15倍を超える広い範囲のデータを一度に取得することは可能でしょうか?

A : 一度にm/z 2~2000まで測定することが可能です。さらに一度に正,負イオン測定も可能です。
幅広い質量範囲データを高速にスキャンするUfscanning 15,000u/sec(1,500Daを0.1sec毎にデータ採取できる能力)を備えているため,一度の測定でより多くのデータポイントのデータ取得を可能にしています。

Q : 網羅的に分析を行いたい場合,LCMS-2050ではDUISにより,
・同時にESIのポジとネガ,及びAPCIのポジとネガの計4つのデータを同時に取得できるという認識であっていますでしょうか?
・それとも,クロマトグラムは"DUIS"のポジとネガの2つが生成されるのでしょうか?

A : DUISでポジとネガの同時測定をした場合は,"DUIS"のポジとネガの2つのクロマトグラムが1つのデータファイル内に生成されます。
LCMS-2050のDUISでは,ESI/APCIのイオンを同時に採取できます。クロマトグラムとしてはESIとAPCIは同時に検出された信号になります。

Q : LCMS-2050の電源ON/OFFを行った際,庫内を真空にするポンプの電源もON/OFFされるのでしょうか?

A : 装置電源のON/OFFと連動して,真空ポンプがON/OFFされますので,個別のON/OFF操作は不要です。

Q : LCMS-2050のようなシングル四重極タイプの質量分析計で分析を行った場合,m/zは小数点以下2桁まで正確にとれるのでしょうか?

A : シングル四重極タイプの質量分析計は±0.1u程度です。
精密質量の測定を目的とされている場合は,四重極-飛行時間型(Q-TOF)のLCMS-9030が有用です。

Q : 質量キャリブレーションは自動化されているのでしょうか?キャリブレーションの方法を教えて下さい。

A : 質量キャリブレーションは自動化しております。従来はキャリブレーション用のサンプルを送液するために,配管の付け替えが必要でしたが,配管の付け替えなしで,実行可能です。
キャリブレーションはソフトウェアから簡単に実行可能です。

Q : UV検出器,MS検出器両方接続する場合は,UVが先で良いでしょうか?その場合,廃液はどうなりますか?

A : 一般的にはUV→MSの順になります。カラムの後でUVとMSとに分岐(スプリット)させて導入させる方法も可能です。
UV→MSの場合は廃液はMSのスプレー部からドレインに廃棄されます。

Q : LCMS-2050にはUVクロマトグラムでの溶出時間とMSの溶出時間の装置上のずれを自動補正する機能はあるのでしょうか?

A : 補正機能を備えています。
配管容量を入力していただくことで,分析時の移動相流量から自動的に遅れ時間が計算され補正します。

■ソフトウェアに関するご質問

Q : Mass-it機能では,化合物名の候補が出ますか?

A : 測定結果の分子量から,化合物を特定して頂くことになります。Mass-itでは,分子量+付加体(基本的にはポジの場合は分子量+1,ネガは分子量ー1)の質量情報が得られますので,分子量の特定が簡単です。
Mass-it機能単体では化合物名の候補は出ませんが,別途化合物情報を設定している場合は,Mass-itで自動検出したm/zに対して,化合物の同定・定量処理が可能です。

Q : Mass-it機能の中で,表示されるm/zの個数は設定できるのでしょうか?

A : 基本的には検出した全成分のm/zを表示します。 セミナーでご紹介したデータは,メインピークのアトルバスタチンに対して,m/z情報が付与されることを簡潔に示す意図で,全体図の方はm/z情報を限定してお見せしました。
もし,非表示にしたいm/zがある場合,MS解析画面のクロマトグラムリストからm/zを削除することで,そのm/zを表示しないように設定することも可能です。

Q : LCMSでは多価イオンが出やすいと思います。多価イオンが複数同時に検出される物質の場合,Mass-it機能では共溶出と判定されますか?

A : Mass-it機能では,多価イオンは同一成分と判断しますので,共溶出とは判定しません。多価イオンの中で強度が最大となるm/zを,その成分の代表として表示します。

Q : Mass-it機能でTICとUVクロマトグラムを重ね合わせる場合にMSデコンボリューションするかと思いますが,その過程のデータリストを取得することは可能でしょうか?

A : Mass-itで解析した結果のm/zリストやマスクロマトグラムはMSデータ解析画面にてご確認いただけます。

Q : UVクロマト上の特定ピークにおけるMS情報において,プロトン付加,アンモニウム付加等いくつかのm/zピークが検出された場合,Mass-it機能で重ね書き表示されるm/z情報はどのようになるのでしょうか?
また,自身でMS情報を解析して,Mass-it機能でアンモニウム付加イオンのm/z情報を表示することはできますか?

A : 複数のイオン種が存在する場合は,Mass-itでは,その中で強度が最大となるm/zを,その成分の代表として表示します。アンモニウム付加イオンが最大であれば表示されますが,そのほかの付加体が最大であれば表示されません。

Q : デコンボリューションを行う場合,別ソフトが必要となるのでしょうか?

A : デコンボリューションを行うには別のライセンスが必要です。別ライセンスを追加で購入して頂くことで,LabSolutionsでデコンボリューションも可能です。

■困りごとに関するご質問

Q : 分析が上手くいかない場合,装置のコンタミネーションが原因なのか,サンプル中の不純物が原因なのか,どうやって判断すれば良いでしょうか?

A : オートサンプラのキャリーオーバーや,移動相によるグラジェントゴーストやカラムブリードなどが考えられます。これらはブランクを注入する等して,コンタミ箇所を切り分けていくことで,判断することが可能です。
※島津製作所のオートサンプラはキャリーオーバーの少なさが特長です。

Q : UV測定に用いるサンプル濃度が濃すぎる場合,MSでサチュレーションを起こすことはないでしょうか?

A : サンプル濃度が濃すぎる場合には,カウント値の飽和と,イオン化の飽和の両方が発生する可能性があります。
カウント値の飽和は検出器電圧の調整で対策可能です。イオン化の飽和は,高濃度サンプルが要因ですのでサンプル希釈や(スプリットする等で)MS導入量の低減を試していただければと思います。

Q : LCMS-2050において移動相に使用できない試薬は,通常のMSと同様でしょうか?
例えば,DMSO溶液等,不揮発性溶媒を注入しても大丈夫でしょうか?

A : 通常のMSと同様,不揮発性の移動相はイオン導入部に詰りが発生しやすくなるため,推奨されません。
DMSOは,サンプル希釈溶媒として注入する程度でしたら問題ありませんが,移動相としての使用はお勧めできません。揮発性の塩(酢酸/ギ酸アンモニウム)やギ酸/酢酸等の使用を推奨します。
下記弊社リンクも参考になりますので,ご活用ください。
LC-MSの分析条件について その1「第一選択移動相の基礎」
(LCMS) MSに適した移動相を知りたい

Q : 質量分析計ではイオン化させる必要がありますが,ほぼすべての化合物がイオン化できると考えても良いでしょうか?

A : 極性のないようなサンプルは,大気圧イオン化ではイオン化できない場合もあります。このような場合はGCMSを使用することがあります。
下記弊社リンクも参考になりますので,ご活用ください。
LC-MSの基礎ガイド

Q : 講演中,UV吸収がない物質や保持時間が重なっているものでも質量分析計では分析が可能とありましたが,検出できない物質はあるのでしょうか?

A : イオン化しない成分は質量分析計でも検出できません。
その場合は,質量分析計と比較すると感度は劣りますが,示差屈折率検出器(RID)が万能的な検出として有用です。

Q : UV吸収のないものを定量したいのですが,面積値再現性のCVは,UV法と比べてどの程度ですか?

A : 再現性はUVよりは幾分劣ると思いますが,感度が十分に取れる場合は2~3%以下程度が得られます。

Q : MSデータで定量する場合,感度のばらつきが不安です。講演で紹介された脱脂粉乳中のアミノ酸測定につきまして,定量値の再現性はUHPLCとLCMSでどの程度差がありますか?

A : 該当のLCMSによるアプリケーションでは定量値の再現性はほとんどの成分について10%以内と,良好な結果が得られております。UHPLCを用いる場合も数%程度の再現性となりますので,大きな差はございません。
https://www.an.shimadzu.co.jp/apl/an/l/l433.pdf
https://www.an.shimadzu.co.jp/apl/an/l/l434.pdf

■アプリケーションに関するご質問

Q : LCMS-2050のペプチドや蛋白質分析の感度や精度は,どの程度でしょうか?

A : LCMS-2050を用いたペプチド,蛋白質の定量分析はまだ弊社内で測定実施をしておりませんが,トリプル四重極型MSでの測定において数ng/mLの定量実績がございますので,LCMS-2050においても数十~数百ng/mLの定量が可能であろうと推察されます。
(質量)精度につきましては,分子サイズにも依存しますが,数千Da程度のペプチドについて多価イオン解析によるデコンボリューションにおいて,整数桁までは正確に質量を算出することが可能です。

Q : LCMS-2050には具体的にどのような適用例がありますか?
例えば水道水質のフェノールは測定できますか?

A : LCMS-2050の適用事例は下記をご参照ください。
https://www.an.shimadzu.co.jp/lcms/lcms2050/applications.htm
水道水質のフェノールで,水道法で求められている分析精度を求められている場合は,トリプル四重極での測定をお勧めします。下記アプリケーションニュースをご参照ください。
https://www.an.shimadzu.co.jp/aplnotes/lcms/an_c096.pdf

Q : 界面活性剤を含む対象物を多く測定しています。LCMS-2050ではイオン化ユニットがESIとAPCIをあわせたものとのことですが,界面活性剤は測定可能でしょうか?

A : LCMS-2050のアプリケーションニュースではございませんが,ご参考までに界面活性剤の分析事例を示します。ESIとAPCIの特性を併せ持つDUISイオン源でも分析は可能です。
https://www.an.shimadzu.co.jp/aplnotes/lcms/an_c187.pdf

Q : LCMS-2050は抗体の分析に使用可能でしょうか?

A : 測定実績はまだございませんが,抗体の定量分析への応用が可能です。抗体のサイズ等にもよりますが,モノクローナル抗体の分析についてトリプル四重極型による分析では数ng/mL~の定量が可能な事例があり,LCMS-2050ですと,数十~数百ng/mL程度を定量下限とする分析が可能かと推察します。下記はトリプル四重極による分析事例をお示しします。ご参照ください。
https://www.an.shimadzu.co.jp/aplnotes/lcms/an_c130.pdf