アトロピン中の微量不純物の定量分析/LCMS

医薬品中の有機不純物には原料由来や製剤化の過程で生成する不純物、さらに保存中に生成する分解物などのさまざまなものがあり、その原因もまた、さまざまなものとなります。

■アトロピン中の微量不純物の定量分析例をご紹介します。
市販のアトロピン50mg/mLにp-ニトロフェノール50ng/mLを添加(0.0001%に相当)したものを分析対象とした、微量不純物の分析結果を下記に示しました。
図1にはLCのクロマトグラム(拡大図)、図2にはLCMS-2020 のSIMモードで分析した結果を示しました。
MSの検出感度では比較的濃度が高いため、保持時間4.7分付近に不純物が容易に検出されています。

LCMS-2020では含有量0.5 ng/mL(0.000001%に相当)程度の微量不純物まで定量可能です。

図1 LCクロマトグラム(UV230nm)

図2 SIMクロマトグラム

表1に測定再現性を示しました。0.5 ‒ 100 ng/mLの範囲でCV値7 %以下、r 2 = 0.999以上の定量性が確認できました。

表1 p-ニトロフェノールの測定再現性

図3 各濃度でのSIMクロマトグラム

LCMS-2020

液体クロマトグラフ質量分析計 LCMS-2020

  • 濃度レンジの広い不純物を検出するためには、高感度のみでなく幅広いダイナミックレンジが求められます。LCMS-2020は新たに開発したイオン光学系“新Qarray”により卓越した感度、再現性、直線性を実現しました。
  • 脂溶性、水溶性さまざまな不純物に対応できる守備範囲の広いイオン化法も必要です。LCMS-2020の多彩なイオン化法の一つである“DUIS-2020”は、ESIとAPCIのコンビネーションイオンソースです。これにより、極性の大きく異なる不純物も見逃しません。