レーザ回折式粒子径分布測定装置によるリポソームの粒子径分布測定

レーザ回折式粒子径分布測定装置によるリポソームの粒子径分布測定

リポソームは球状のりん脂質二重膜で,内部は空洞の構造を持つため,内部にいろいろな物質を包含させることが可能です。その性質を利用して,ドラッグデリバリーシステム(=DDS:Drug Delivery System薬物送達システム)などへの応用研究が盛んです。

調製法の異なる2種類のリポソームの測定

レーザ回折式粒子径分布測定装置で2種類のリポソームを測定した結果です。2種のリポソームは基本成分的には同じものですが,調製法に多少の違いがあります。その違いが粒子径分布の差を生んでいると考えられます。
 

図1 調整法の異なる2種類のリポソームの粒子径分布

 

上記2種の粒子径分布を示します。これらの結果から次のようなことが推測されます。
1) このリポソームは2種とも,本来,0.3 µmを中心とする粒子径分布を持っている。
2) 試料“No.2“は試料“No.1”よりも,凝集体と思われる粗粒子を多く含んでいる。
この例のように,調整法のわずかな違いから生じる粒子径分布の差を,レーザ回折式粒子径分布測定装置は正確に捉えることができます。例えば,DDSへの応用等を考えるとき,この粒子を静脈注射などの方法で体内に注入するわけですから,安全性その他の面で粒子径分布は重要な物性値になると思われます。
試料の一つの管理方法として,ある特定の粒子径以上の粒子の存在量を利用することが考えられます。例えば右下の表のように,0.6 µm以上の量を比較すると,50%粒子径に比べて非常に明確に試料No.1とNo.2を区別することが可能になります。
 

図2 調整法の異なる2種類のリポソームの粒子径分布(重ね書き)

レーザ回折式粒子径分布測定装置

レーザ回折式粒子径分布測定とは粒子群にレーザ光を照射し,そこから発せられる回折・散乱光の強度分布パターンから計算によって粒子径分布を求める方法です。

SALD-7500nanoの測定範囲は7nm~800µmで,一次粒子から凝集体,コンタミまでを一台の装置で測定できるので,分散条件などによる凝集特性を幅広い範囲で確認できます。