HPLCによるぎ酸とホルムアルデヒドの同時分析
HPLCによるぎ酸とホルムアルデヒドの同時分析
近年,人工光合成分野の研究は盛んに行われています。二酸化炭素が溶解した試料溶液に,様々な光増感剤,触媒,電子供与体を添加し,光を照射することにより二酸化炭素を還元し,光合成を人工的に行わせます。反応の進行に関しては主にぎ酸をモニタリングしますが,副生成物としてホルムアルデヒド等が生成することもあり,これらの成分を同時に分析することが望まれていますが,あまり行われていません。ここでは,島津有機酸分析システムのpH緩衝化法によりぎ酸等の有機酸を分析すると同時に,示差屈折率検出器を用いてホルムアルデヒドも同時に分析しました。
ぎ酸とホルムアルデヒドの同時分析

有機酸を分析する際は,分離,選択性に優れたpH緩衝化法による島津有機酸分析システムがよく用いられます。しかしながら,このシステムで用いられているイオン排除系のカラム“Shim-pack SCR-102H”では,ぎ酸とホルムアルデヒドが重なってしまうため,逆相系のカラムである“YMC Hydrosphere C18”を追加して,分離を改善しました。
また,ホルムアルデヒドは電気伝導度検出器では検出できないので,示差屈折率検出器を直列に接続することにより検出しました。
右の図は各成分を数百ppm程度の標準品を分析した例を示しています。示差屈折率検出器は,感度,選択性とも他の検出器よりは劣りますので,注意が必要です。
Peaks :
1. Formic Acid
2. Acetic Acid
3. Propionic Acid
4. Form Aldehyde
分析条件:
Column | YMC Hydrosphere C18 (150mmL. x 4.6mmi.d.) Shim-pack SCR-102H x 2 (300mmL. x 8.0mmi.d.) |
Mobile Phase | 5 mmol/L perchloric acid |
Flow Rate | 0.6mL/min |
Column Temp. | 40 ℃ |
Reaction Reagent | 5 mmol/L perchloric acid 20 mmol/L Bis-Tris 0.1 mmol/L EDTA-4H |
Flow Rate | 0.6 mL/min |
Reaction Temp. | 40 ℃ |
Detection | Electrical Conductivity, Reflective Index |
Injection Volume | 100 μL |
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島津有機酸分析システム

有機酸分析システムは,島津独自のpH緩衝化ポストカラム電気伝導度検出法により有機酸を選択的に高感度検出できます。 従来からのUV短波長法,単純電気伝導法などに比べて大きく定量信頼性が向上します。イオン排除クロマトグラフィーで有機酸を分離した後,カラム溶出液にpH緩衝化試薬を連続的に加え,pHを中性付近にし有機酸を解離状態にして電気伝導度検出します。食品など夾雑成分の多い化合物の分析に適しています。