マイクロチップ電気泳動システムによる食中毒関連遺伝子の検出

近年,食中毒,インフルエンザ等の感染症,アレルゲンなどの原因物質を特定するために,遺伝子による検出法が広く用いられるようになっています。これらの検出はいずれも迅速かつ高感度で検出することが求められています。
これまでゲル電気泳動によりPCR増幅産物などの検出が行われていますが,電気泳動後のゲル写真(画像)の目視による判断では,微量の検出においてあいまいさが伴うなどの欠点がありました。
今回アガロースゲル電気泳動よりも検出感度が高く,また多くのデータが容易に比較できるマイクロチップ電気泳動システムを用いた,食中毒関連遺伝子の分析をご紹介いたします。

<分析方法>
【 PCR 】
サンプル 精製DNA
試薬 Ampdirect® Plus 酵素セット
ターゲット 腸炎ビブリオ(trh1&2)
    黄色ブドウ球菌(entA)
    黄色ブドウ球菌(TSST-1)
    サルモネラ菌(invA)
    毒素原性大腸菌(LT, STh, STp)
    腸管出血性大腸菌(VT1, VT2, VT1&2)
    
【MultiNA分析】
  • DNA-500 Reagent Kit
  • SYBR® Gold nucleic acid gel stain
  • 25bp DNA ラダー

<分析結果>
10種類の食中毒関連遺伝子のターゲット領域を検出することができました。
マイクロチップ電気泳動システムでは測定結果が電気泳動イメージやエレクトロフェログラムとして得られます。また,増幅産物のサイズ推定値や濃度推定値は標準サンプル(ラダー)の検量線から算出され数値として表されるため,ターゲットとする増幅産物の判定が容易となります。

Lane 1:腸炎ビブリオ (250bp)
Lane 2:黄色ブドウ球菌EA (423bp)
Lane 3:黄色ブドウ球菌TSST-1 (228bp)
Lane 4:サルモネラ (378bp)
Lane 5:大腸菌LT (263bp)
Lane 6:大腸菌STh (131bp)
Lane 7:大腸菌STp (123bp)
Lane 8:大腸菌VT1 (349bp)
Lane 9 :大腸菌VT2 (404bp)
Lane 10:大腸菌VT1&2(171bp)

マイクロチップ電気泳動システム

マイクロチップを用いた電気泳動法により,DNAやRNAのサンプルを大きさによって分離し,DNAやRNAの核酸サンプルのサイズ(大きさ)確認やおおまかな定量を行います。マイクロチップを用いることによって電気泳動分離を高速に,蛍光検出により高感度に,しかも全自動で分析することができる電気泳動システムです。