食品中に含まれる遺伝子(DNA配列)の差異により、食品の品種を判別することができます。米(コメ)は、JAS法により品種・産地等の表示が義務づけられていますが、偽装表示が後を絶たないため、表示内容を科学的に検証する種々の技術が開発されています。米の品種判定においては、PCRにより抽出DNAから品種に特異的な遺伝子領域を増幅し、PCR産物を電気泳動システムにより分析する手法が広く用いられています。 

米の品種としては150以上が知られており、定性PCR法による品種判別法は、コシヒカリなどの特定品種に対する混入確認、不明な品種の特定、コシヒカリ新潟BLなどの同質遺伝子系統の判別などに活用されています。

コシヒカリと他の品種の、品種判別・品種判定

市販のコメ品種判別用PCRキット(コシヒカリ用)とマイクロチップ電気泳動システムによって、コシヒカリと他の品種の品種判別・品種判定を行いました。コシヒカリの場合は、判別Markerに示される3本のバンドのみが現れます。これにより、コシヒカリとその他品種を判別することができます。
 

米の分析結果

米の分析結果

 
 

米の品種判定(マルチプレックスPCR法)

コメ奉行シリーズ(2)品種特定キット(コッケン社製,KK-KB-02-02)と電気泳動システムによる分析例を紹介します。
このキットでは、SNP法(SNPマーカー)によって112種の米の品種判別が可能になっています。米から抽出したDNAを鋳型としてA,B,C,Dの4セットのマルチプレックスPCRを行い、それぞれのPCR産物の分析を電気泳動システムで実施しました。品種の判別はメーカーから供給される判別用ソフトウェアに出現パターンを入力することにより行います。電気泳動システムによる分析結果から得られるPCR産物の出現パターンは、各品種の出現パターンと一致しています。

 

マイクロチップ電気泳動システム

マイクロチップ電気泳動システム

マイクロチップを用いた電気泳動法により、DNAやRNAのサンプルを大きさによって分離し、DNAやRNAの核酸サンプルのサイズ(大きさ)確認やおおまかな定量を行います。マイクロチップを用いることによって電気泳動分離を高速に、蛍光検出により高感度に、しかも全自動で分析することができる電気泳動システムです。