魚網は耐久性強化のために銅の保護膜が施されているものがあります。重元素の銅は魚網に抗菌効果を付与することが知られていますが、魚網が海洋ごみになることで、海洋環境への悪影響が懸念されるようになりました。

魚網は採集して漁具などへのリサイクルが望まれていますが、その場合適切な処理のために材質や保護膜の分析が必要になります。ここでは、自然界で採取した魚網を蛍光X線分析装置で分析した事例をご紹介します。

マヨルカ島プラヤデムーロで採取した漁網の測定結果

銅含有量が0.03 wt%未満と低く、銅の保護膜を有していないものであることがわかりました。

マヨルカ島プラヤデムーロで採取した漁網

定性結果:ポリエチレン、炭酸カルシウム、
ケイ酸塩

図1:浜辺で収集した漁網の蛍光X 線プロファイル

図1:蛍光X線プロファイル

リサイクル工場で入手した漁網の測定結果

銅含有量が15 wt%と多く、銅の保護膜を有する漁網であることが推測できました。

リサイクル工場で入手した漁網

定性結果:ポリアミド、酢酸塩

図2:リサイクル工場から入手した漁網の蛍光X 線プロファイル

図2:蛍光X線プロファイル

関連アプリケーション

 
 
 

 
蛍光X線分析装置(EDX)

蛍光X線分析装置(EDX)

X線を試料に直接照射して、そこから発生する2次元X線(蛍光X線)のエネルギーと強度を測定します。これにより試料の構成元素(定性)と濃度(定量)が非破壊で測定できます。化学的前処理が不要で、多元素同時測定であるため迅速分析が可能です。固体、粉体、液体等のあらゆる試料形態の元素の種類を、簡単に短時間で特定することができます。

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