高分子材料には,加熱したり,光を照射したり,あるいは混合することにより,時間経過に伴ってその分子構造が変化するものがあります赤外分光光度計(FTIR)は,その変化を追跡する有効な測定手段の一つで,同時に複数個の吸収ピークの変化を追跡できるところに特長があります。
エポキシ系接着剤は,主剤と硬化剤を混合すると反応し,図に示した過程を経て硬化していきます。その過程を一定の時間間隔で測定を行い,官能基の変化の様子を調べました。

 

エポキシ樹脂の硬化過程

エポキシ基と水酸基の赤外スペクトル 

 

それぞれの5分ごとのピークを重ね描きしたチャートです。エポキシ基(925~899 cm-1)の減少に伴って,水酸基(3650~3140 cm-1)が増加していることがわかります。
 


 

赤外分光光度計(FTIR)

主に有機化合物の構造推定(定性)を行う分析装置です。
赤外線を分子に照射すると,分子を構成している原子間の振動エネルギーに相当する赤外線を吸収します。この吸収度合いを調べることによって化合物の構造推定や定量を行います。