GCMS分析の基礎

1.2. イオンの種類

1.2.1. マススペクトルの例
1.2.2. ベースピーク
1.2.3. 分子イオンピーク
1.2.4. フラグメントイオン
1.2.5. 同位体ピーク

1.2.1. マススペクトルの例

 イオン源で分子がイオン化されると様々な種類のイオンが生成されます。マススペクトルはイオン源で生成されたイオンの質量分布をグラフ化したものです。質量分布から分子量や分子の構造などの情報を得ることができ,未知分子の同定の手段として使えます。ここでは,2,3-ジクロロトルエンのマススペクトルを例にとり,いくつかの重要なイオンの種類について説明します。

 横軸はm/zを表しています。ここでmはイオンの質量を原子質量単位uであらわしたもの,また,zはイオンの電荷数をあらわします。一般に,GC/MSで用いられるイオン化法では電荷数1のイオンを生成します。従って,m/zはイオンの質量とみなすことができます。

1.2.2. ベースピーク

 下図の縦軸はイオンの相対強度をあらわします。スペクトル中でもっとも強度の強いピークをベースピークといい,通常その強度を100%にとります。このイオンはイオン源の中でもっとも多く生成されているイオンで,もっとも安定なイオンということができます。化合物の同定に用いたりすることもあります。

1.2.3. 分子イオンピーク

 電気的に中性な化合物から電子が1個放出されると正に帯電した1価の分子イオンが生成されます。このイオンは分子量の情報を持っています。電子の質量は分子の質量と比べると非常に小さいので,分子イオンの質量は分子量とみなすことができます。

1.2.4. フラグメントイオン

 フラグメントイオンはイオン源の中で生成された分子イオンが壊れて(フラグメンテーション),作られます。多くのフラグメントイオンが作られることもあり,その分布は化合物の構造を反映しています。フラグメントイオンは分子イオンより小さい質量をもちます。

1.2.5. 同位体ピーク

 多くの元素は自然同位体を持っています。例えば,塩素Clでは35Clの他に37Clが存在します。同位体が存在すると,スペクトル中に,モノアイソトピック質量ピークのそばに同位体ピークがあらわれます。モノアイソトピック質量ピークとはもっとも存在比が大きい質量を用いて計算された質量です。

 実際のマススペクトルには,バックグラウンドピークが観測されることがあります。これは試料以外の化合物によるピークで,そのソースとしては水,空気,カラムからの溶出,前の分析の残渣などが考えられます。

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