GCMS分析の基礎

3.4. 検出器

質量分析計では質量分析部で分離されたイオンの検出器として電子増倍管がよく使われます。ここでは電子増倍管の構造について説明します。

3.4.1. 検出器概観
3.4.2. 電子増倍管の構造(不連続ダイノード型)
3.4.3. 電子増倍
3.4.4. 電子増倍管のゲイン
3.4.5. 電子増倍管の構造(連続ダイノード型)
3.4.6. コンバージョンダイノード

3.4.1. 検出器概観

 四重極質量分析部で分離されたイオンは,検出器で検出されます。検出器でイオンは電気信号に変換され,その後,増幅回路で信号増幅されます。最もよく使用される検出器は二次電子増倍管と呼ばれる検出器です。電気信号とは電子の流れですが,2次電子増倍管はイオンを電子に変換し,ごくわずかしかなかった電子をものすごい量に増倍し,通常の電子回路で取り扱える程度の信号量にします。二次電子増倍管はその構造により不連続ダイノード型と連続ダイノード型にわかれます。

3.4.2. 電子増倍管の構造(不連続ダイノード型)

 二次電子増倍管は多くのダイノードから構成されています。第1ダイノードには負の高電圧が印加され,他のダイノードにはをその電圧を抵抗分割することで,だんだんと減少してゆく電圧が それぞれのダイノードに印加されています。イオンが第1ダイノードに衝突すると複数の2次電子が放出されます。第1ダイノードから放出された電子は,第2ダイノードに衝突しさらに電子を放出,次のダイノードにまた衝突というプロセスをくりかえし,電子がどんどん増えてゆきます。2次電子増倍管は,ノイズとなる中性粒子が直接入射しないよう,軸から外して取り付けられます。これをオフアクシスと呼んでいます。

3.4.3. 電子増倍

 1個の電子がダイノードに入射した時,放出される電子の数は,ダイノード間の電圧に依存しますが,この数が1より大きくなると,なだれ式に電子が増倍されます。これが電子増倍の原理です。不連続型の2次電子増倍管のダイノード数は10~25段位で,104から 108の増倍率で動作させます。

電子増倍 (wmv形式・1.2MB)

3.4.4. 電子増倍管のゲイン

 電子増倍管のゲインコントロールは増倍管の第1ダイノードに印加する高電圧を変えることで行います。他のダイオードに印加される電圧は,増倍管に搭載されている抵抗で第1ダイノード高電圧を抵抗分割することで自動的に決まります。典型的な ゲイン曲線を図に示します。一般に,全体的なゲインは,使用時間とともに減少してゆきます。検出器の寿命を延ばすには,不必要に過剰な電圧を印加するのを避けることをおすすめします。

3.4.5. 電子増倍管の構造(連続ダイノード型)

 連続ダイノード型の電子増倍管は一般にラッパ状の形をしています。このタイプの増倍管は鉛ガラスのチューブをベースに作られています。増倍の原理は不連続ダイノード型と同じですが,2次電子は,不連続な金属ダイノードではなく,筒の連続内壁から放出されます。連続ダイノード型の場合は,内表面自身が抵抗になっているため,分割抵抗はありません。

 電子倍増管の構造  (wmv形式・260KB)

3.4.6. コンバージョンダイノード

 一般に,電子増倍管の前にはコンバージョンダイノードが入れられています。このダイノードには検出したいイオンとは逆極性の高電圧,つまり,正イオンの場合は負の,負イオンの場合は正のコンバージョンダイノード電圧が印加されます。コンバージョンダイノードを入れるメリットは次の通りです:(1)負イオンの検出が可能になる (2)高質量イオンの信号強度の低下を防ぐ。

コンバージョンダイノード (wmv形式・131KB)
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