GC分析の基礎

1. GC(ガスクロマトグラフ)とは?

1.1. GC分析の概念

GCは,気体の分析手法であるガスクロマトグラフィーを行う装置(ガスクロマトグラフ:Gas Chromatograph)の略称です。
GCの分析対象は,気体および液体(試料気化室の熱で気化する成分) です。化合物が混合された試料をGCで分析すると,各化合物ごとに分離,定量することができます。

混合溶液試料をGCで分析する場合,装置に試料が導入されると,試料に含まれる化合物は,溶媒成分も含めて試料気化室内で加熱され,気化します。
GCではキャリアガスと呼ばれる移動相が常に「試料気化室⇒カラム⇒検出器」に流れ続けており,キャリアガスによって試料気化室で気化した分析対象成分がカラムへ運ばれます。この時,カラムの中で混ざり合っていた化合物が各成分に分離され,検出器で各化合物の量を測定することができます。

検出器は各化合物の量を電気信号に変えてデータ処理装置に信号を送りますので,得られたデータから試料に「どのような化合物」が,「どれだけの量」含まれていたかを知ることができます。

1.2. GCの装置構成

GCの装置構成は極めてシンプルです。
「液体試料を加熱し,気化するための試料気化室」・「各化合物に分離するためのカラム」・「各化合物を検出し,その濃度を電気信号として出力する検出器」の3点がGCの主な構成品です。

1.3. ガスクロマトグラフィーの分離

GCによる分離はカラムの中で起こります。
複数の化合物を含む試料を移動相(GCの場合,移動相はキャリアガスとよばれる気体で,Heガスがよく使われます)とともにカラムに注入すると,試料は移動相とともにカラム内を移動しますが,そのカラム内を進む速度は化合物によって異なります。そのため,カラムの出口にそれぞれの化合物が到着する時間に差が生じ,結果として各化合物の分離が生じます。
GCの検出器から出力された電気信号を縦軸に,試料注入後の経過時間を横軸に描いたピーク列をクロマトグラムと呼びます。

カラムを通過する成分は
固定相(液相・固相)に分配/吸着しながら移動相(気相)によって運ばれる

 

GCによって得られた分析結果,クロマトグラムの一例を示します。
横軸は成分が検出器に到達するまでの時間,縦軸は信号強度です。
何も検出されない部分をベースライン,成分が検出された部分をピークといいます。
試料を装置に導入してピークが現れるまでの時間を保持時間(リテンションタイム)といいます。
このように成分ごとに溶出時間が異なることで各成分が分離して検出されます。

1.4. GCで分析対象となる化合物

GCで分析が可能な成分の主な特長は以下の3点です。

  • 沸点が400度までの化合物
  • 気化する際の温度で分解しない化合物
  • 気化する際の温度で分解しても常に一定の分解を生じる化合物 ⇒ 熱分解GCと呼ばれます

 

●400℃程度までで気化する化合物
●気化した時に、その温度で分解しない化合物
●気化した時に分解しても、定量的に分解物が発生する化合物(熱分解GC)

 

1.5. GCで分析できない / 難しい化合物

GCで分析が不可能であったり,難しい化合物は以下のとおりです。

分析が不可能な化合物

  • 気化しない化合物(無機金属やイオン類、塩類)
  • 反応性の高い化合物や化学的に不安定な化合物(フッ酸などの強酸やオゾン,NOxなど反応性が高い化合物)
 

分析が難しい化合物

  • 吸着性の高い化合物(カルボキシル基,水酸基,アミノ基,イオウ等をもつ化合物)
  • 標準品が入手困難な化合物(定性定量が困難)

 

✕ 分子量が小さくても気化しない化合物
 (例:無機金属,イオン類,塩類)
✕ 反応性の高い化合物や非常に不安定な化合物
 (例:フッ酸,オゾン,NOx)
△ 吸着性の高い化合物
 (カルボキシル基,水酸基,アミノ基,イオウ等をもつ化合物は,吸着・反応性が比較的高いので分析時には注意が必要)
△ 標準品が入手困難な化合物
 (ピークの確認はできても定性・定量は困難)

 

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