微細藻類バイオマス測定用TOC-L

新エネルギーの候補として微細藻類バイオマスに大きな期待が寄せられています。その研究におけるバイオマス測定には一般に乾燥重量法が用いられていますが,これに取って代わる迅速・簡便・高精度なツールとしてTOC-Lをぜひご活用ください。
TOC-Lは懸濁試料測定に適したTOC計として従来よりご好評をいただいておりますが,さらにその性能を向上させるべく,より沈降性の高い懸濁物質を含む試料の測定を可能にする採水・注入動作を備えました。
これにより微細藻類が懸濁した水試料などをそのまま測定したときの回収率や測定繰返し性が向上し,微細藻類バイオマス研究で一般に用いられる乾燥重量法に取って代わる画期的な評価手段としてご提供できるようになりました。
主な仕様
(低濃度用と高濃度用の2種類があります。)
- 測定濃度範囲 : TCについて 0 ~ 300mg/L(低濃度用は 0 ~ 150mg/L),TN について 0 ~ 100mg/L(低濃度用は 0 ~ 50mg/L)
- 試料注入量 : 80μL(高濃度用)または150μL(低濃度用)
- 酸化触媒 : TC 標準触媒(またはTC/TN触媒)推奨
懸濁試料測定用採水・注入動作

(1) 試料注入器に採取した試料を直ちに試料注入チューブに送出することで,試料チューブ共洗いと試料充てんを行います。(赤色図示)
(2) 試料注入スライダを注入位置に移し,試料注入器内の残りの試料を試料注入チューブにその内容量分だけ送出(青色図示)することで,(1)で試料注入チューブに充てんされた試料全量を試料燃焼部に注入します。
データ例
微細藻を培地ごと懸濁状態で測定した例をご紹介します。Fig.1は微細藻のTC,IC,TOC測定値,Fig.2は微細藻細胞のTCに占めるTOCとICの割合で,いずれも8日間の培養期間に渡る変化を追跡したものです。測定の際には試料の破砕などの前処理を必要とせず,マグネティックスターラで撹拌するだけで良好な測定値が得られました。注1)
TOC-Lを用いることで,このように炭素の動態をリアルタイムかつ精度良く評価することができます。しかも10 ~ 20mL 程度の少ない試料量で測定できますので,実験室規模の研究に最適です。
TOC-Lは次のような用途に活用することができます。
- 微細藻の性質に関わる情報を得る。
- 培養中の微細藻細胞の経時変化や明暗環境での挙動を把握する。
- 培養系内の炭素および窒素収支注2)を定量的に把握する。
※本システムはあらゆる懸濁試料の測定を保証するものではありません。
懸濁物質の性状によっては,試料希釈,破砕,分散,撹拌などの操作を必要とする場合があります。
試料条件や本機能の適否につきましては,弊社担当者までお問い合わせください。
関連するアプリケーションデータを,会員制サイト Solutions Navigator に掲載しています。 O46 「藻類バイオマス懸濁液のTOC測定」(ログイン要) O49 「TOC測定による微細藻類の増殖過程の追跡」(ログイン要) O50 「TOC測定による微細藻類のキャラクタリゼーション」(ログイン要) O52 「微細藻類の海水培養液中のTOC・TN同時測定」(ログイン要) → Solutions Navigator TOCアプリケーションニュースへ |