分析天びん APシリーズ
常識を覆す革新的研究で創薬のゲームチェンジに挑戦
中部大学 ペプチド研究センター
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INDUSTRY
医薬・バイオ医薬品
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キーワード
ペプチド
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紹介する製品・サービス
分析天びん APシリーズ, STABLO-AP
Customer
中部大学
ペプチド研究センター長
特定教授 山本 尚 様
*お客様のご所属・役職は掲載当時のものです。
ペプチド研究センター
URL
https://www.chubu.ac.jp/research/institute/molecular-catalyst/
インタビュー
中部大学様は、工学科の単科大学からスタートし、8学部27学科と幅広い学問領域をカバーする総合大学へと発展された中部地方を代表する大学です。「社会の発展に寄与する研究課題に取り組み、優れた研究成果をあげる」ことを研究上の使命とされているように、基礎から最先端の研究にまで対応する設備を揃えた研究室では、日夜、一線級の研究者の方々が研究に励まれています。今回は、次世代の医薬品開発を根底から革新する中分子ペプチド合成法の研究で世界をけん引されている山本 尚教授率いるペプチド研究センター准教授の服部 倫弘様にお話を伺いました。
常識を覆す革新的研究で創薬のゲームチェンジに挑戦
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中部大学
ペプチド研究センター准教授
服部 倫弘 様 -
研究内容についてお聞かせください
山本尚教授が立ち上げたペプチド研究センターでは、その名の通りペプチドに特化した研究に取り組んでいます。アミノ酸が2個以上つながってできるペプチドは化学合成が可能で、その組み合わせやつながり方を変えることで、血圧降下やコレステロール低下などの機能を持ったものを自在につくれます。微量でも効果的に作用し人体にもやさしいため、特に医薬品分野では年間50億ドルを超える市場規模を持ち注目度が高いのですが、時間がかかる割に一度につくれる量はわずかで、目的とする化合物を得るには試薬代や精製費などに莫大なコストがかかってしまいます。
この問題を解決すべく、私たちの研究センターでは、2年ほど前から複数のペプチド同士を自在に連結する方法の研究に取り組み始め、ペプチドの合成にかかる費用を劇的に下げ得る中・大分子ペプチドの合成法を編み出しました。今振り返ると、山本教授以下、研究員や職員を含めほとんどの人がペプチドについて詳しくは知らず、常識では理解できないような発想や方法にチャレンジできたことが功を奏したのだと思います。
また、社会の役に立ちたいとの思いがあるので、企業と積極的にコミュニケーションを図っていますし、実用化できないかとのお声もたくさんいただいています。私たちとしては、「効率が良い、純度が高い、早い、安い」方法を編み出しているつもりですが、大きなスケールでつくることを考えるとその試薬や方法ではちょっと、ということがあるんですね。私たちと企業の方とでは目線が異なるため、それが面白いですし、勉強になっています。
ご使用いただいている装置についてのご感想や、当社への期待について教えてください
2023年9月に分析天びんAP224W-ADを3台導入しました。決め手の一つとなったのが、タッチレスで開閉できるオートドア(風防扉の自動開閉)機能です。 実験中のミスで大きな要因となるのが、ひょう量作業中にフラスコから手や目を離してしまうことです。以前は、作業中に静電気を逃すために一度手袋を外したり、試料の出し入れで天びんの風防扉を開閉する際にフラスコから手が離れたり目線が外れることで、フラスコが倒れて試料がこぼれてしまうことがありました。ひょう量作業は1日に10回以上行うのですが、そのたびに手袋を外して、ドアを開け閉めして、しかもときどきミスが起こって…、と本当に大変でした。その点、AP224W-ADは、タッチレスで風防扉が自動開閉できます。目の端でセンサの位置を捉えておけば、フラスコから目を離すことなくひょう量作業に集中できるわけです。これは大変助かります。
また、イオナイザ(除電器)が内蔵されているのもいいですよね。私たちは、5ミリグラム、10ミリグラムといった少量の試料で実験を行い、理論的に取り出せる計算量と実際に得られた実測量の割合、いわゆる収率を導き出しています。天びんは温度や湿度、静電気といった環境に影響されがちですが、論文に誤ったデータを載せることになってしまうため、わずかな誤差も許されません。その点、イオナイザが試料や容器の帯電を除去してくれますので、正確に効率よくひょう量作業ができるようになりました。
実は、イオナイザはひょう量作業以外のシーンでも活躍してくれています。私たちの実験室では、フラスコに試薬を作り置きしておくことがあるんですね。ところが粉末ですと、フラスコから取り出そうとした際に静電気でパーっと散ってしまって、いざ使おうと思ったときに中々取り出せない、ということがあるんです。それを避けたいので、除電のためだけにAP224W-ADに試薬入りフラスコを入れて除電する、という使い方もしています。
研究は少しでもスピーディかつ正確に進めたいので、天びんも試料を載せたらできるだけ速く、ピタッと止まってほしいと思っていますが、AP224W-ADは反応スピードも速く申し分ありません。
また、かつての天びんは装置ごとに結構ずれがあり、同じものを量っても異なる数値を示すことがありました。そのため一つの天びんを使い続けるようにしていましたが、正直それがちょっとしんどいなと思う時がありました。AP224W-ADは自身が内蔵分銅で定期的に調整してくれるので、装置ごとのずれがなく作業効率もあがり、これもありがたいです
当社への期待について
実験ではグローブボックスも使っているのですが、全体的にもっとコンパクトでチャンバーの中に納まるぐらいのサイズの天びんがあると嬉しいなと思っています。
また、液体クロマトグラフ(HPLC)は複数台使用していますが、島津製作所のものがいちばん使いやすく、実際、稼働率もナンバー1です。願わくは、もう少しリーズナブルになるとありがたいです。
中部大学ペプチド研究センターでは、オートドアや除電機能を高くご評価いただき、新たにAP W-ADシリーズを導入いただきました。創薬から化粧品、サプリメント、さらにはマテリアルまでと、幅広い分野でのゲームチェンジが見込まれるペプチド合成という革新的な研究に取り組まれている皆様の根幹を支えるひょう量作業において、当社電子天びんがお役に立てていることは非常に光栄ですし、同時に責任と使命も感じます。今後も、お客様のお声に耳を傾けながら製品開発を進めてまいります。本日は、大変貴重なお話をありがとうございました。