テクノロジープラットフォームの中核を担い、 基礎研究からニーズ対応の開発でイノベーションを創出

三菱ケミカル株式会社

三菱ケミカル株式会社 Science & Innovation Center Polymer Laboratory

  • INDUSTRY

    工業材料・マテリアル

  • キーワード

    ポリマー, 静電気

  • 紹介する製品・サービス

    分析天びん APシリーズ, STABLO-AP

インタビュー

三菱ケミカル様は、素材から機能商品、環境・生活やITのソリューションまで、多種多様な製品・サービスを通してあらゆる産業の基盤を支えています。
これまで培ってきた総合化学の力を活かし、事業の成長だけでなく、持続可能な未来に向けて社会課題の解決をグローバルに主導していく存在を目指しています。
今回は、三菱ケミカル様で基礎研究の中核を担うScience & Innovation Center でポリマーの研究・開発に取り組まれているPolymer Laboratoryの若林優子様にお話を伺いました。
 

Customer

若林 優子 様

三菱ケミカル株式会社
Science & Innovation Center Polymer Laboratory
若林 優子 様

*お客様のご所属・役職は掲載当時のものです。

三菱ケミカル株式会社 Science & Innovation Center Polymer Laboratory
URL https://www.m-chemical.co.jp/index.html

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研究内容についてお聞かせください

Polymer Laboratoryでは、新たな機能性を持つ材料の開発に向けて、ポリマーの分子設計・合成・材料物性評価・機能性制御の観点から多角的に研究を行っています。 その中で私は入社当時から現在に至るまで、材料の熱物性・機械物性・光学物性等の物性評価をメインに担当しています。 具体的には、ハードディスクの耐久性評価・摩耗評価・表面解析をはじめ、その後テーマの移り変わりと共に、重合トナー・セルロースナノファイバー(CNF)・ポリエステルなど、多岐に渡る材料の評価に携わってきました。Polymer Laboratoryに異動してから10年ほどになりますが、ポリマーの熱分析全般を担当するようになりよりスピーディに評価を行い、設計・合成にフィードバッグできるように日々取り組んでいます。

Polymer Laboratoryには研究者が100人ほど在籍しており、三菱ケミカルグループの基盤研究拠点として極めて大きな研究所になっています。RDの迅速化に向けて、評価を行う立場から「良い」と思うものを取り入れてますますスピードアップしていきたいと考えています

ご使用いただいている装置についてのご感想をお聞かせください

とにかく最初にその効果に感動したのは、「イオナイザ(除電器)」でした。
Polymer Laboratoryでは、ポリマーの熱物性測定時、サンプルの微量測定に分析天びんを使用していますが、粉末やフィルムの分析が多く、静電気にはいつも悩まされてきました。
今回、イオナイザが内蔵されている島津製作所の分析天びんAPシリーズを使用したところ、試料の帯電が除去され、正確に効率よくひょう量作業ができるようになりました。イオナイザが内蔵できるので、コンパクトで設置スペースを取らない点も気に入っています。

また、AP W-ADシリーズでは、オートドア(風防扉の自動開閉)、タッチレスセンサ、イオナイザが搭載されており、天びんに触れずに計量が行えるので、両手が塞がった状態での計量にも便利で、コンタミネーション(異物混入)の防止にも役立ちます。
最初は「イオナイザといっても!?」と効果を疑っていました。イオンによって除電できることをあまり信用していなかったからです。ところが、実際に試してみたところ、見事に効果が証明され、天びんの数値がピタッと止まることを目の当たりにして感動しました。
同じように静電気の除去に苦心している周りの同僚にも島津製作所のイオナイザを薦めたところ、皆一様の反応を示しました。これまでさまざまなイオナイザを試して期待が裏切られることも多く、まさかこれほど効果があるとは思いもしなかったようです。

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現状、イオナイザを内蔵させての使用がメインですが、フィルムを切る際はイオナイザを外置きで使用する場合もあります。その用途でさらに効果を発揮するのが、「無風」という特徴です。
ポリマーという素材は、どうしても静電気が発生してしまいます。Polymer Laboratoryで島津製作所のイオナイザが広く使われるようになった理由として、除電能力だけではなく「無風」という特徴も重要だったと思っています。
その「無風」と併せて、コンタミネーション防止の観点からも大歓迎なのが「自動開閉機能(オートドア)」です。試験中には手袋をしているといっても、風防扉のように触れることが多い部分はどうしても汚れます。オートドアならばその心配も無く、常にきれいに使えますので、オートドアをこれからのスタンダードにしていけると良いですね。
このような小さな改良の積み重ねが、測定データや評価結果を早く出せることにつながり、最終的には研究開発の迅速化を可能にすると思っています。

当社への期待について

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イオナイザやオートドアのように、今後もユーザーの声を聞いて製品開発に取り組んでいただきたいです。例えばですが、装置の仕様をQRコードにして貼っておくというのはどうでしょうか。
取扱説明書をよく読むと便利な仕様がたくさんあるのに気づきますが、実際の使用者は最低限で事足りてしまいますので、そこまで気にしません。取扱説明書を見ないのが現状です。せっかくの機能をもっと手に取りやすい方法で見せてもらえると、もっと利用価値が上がるのではないかと感じました。
もう一つ、測定した値を記憶する機能が欲しいです。基本的には「メモする」「覚えておく」のですが、ふとした瞬間に忘れてしまって測り直すことがあります。その時に「天秤が覚えていてくれていたら・・・」と思います。本当に数秒のことなのですが、その積み重ねが最終的に大きな差につながります。

また、今の長方形のフォルムと色合いはスタイリッシュでとても気に入っていますが、グローブボックス内に入るようなミニサイズがあるととてもうれしいです。
最後に、機能的・性能的なことではないのですが、何か話しかけてくれる機能があったら面白いなと思います。私たちは研究に没頭していると、時として孤独感に襲われることがあります。そんな時、一緒に測定している機器に話しかけてもらえたら、ちょっとうれしい気持ちになれるかも知れません。これは余談ですが(^^)

Science & Innovation Center では、除電性能を高くご評価いただき、多数のAPシリーズをご使用いただいています。若林様には、センター内メンバーに対して製品をご紹介いただくだけではなく、評価を広げていただきました。日夜大変な研究に取り組まれている皆様の、一番の基本となる秤量作業において、当社電子天びんに対して信頼を得られたことは非常に嬉しく、また責任も感じます。今後も、よりお客様のお役に立てるよう、製品開発を進めていきたいと思います。本日は、大変貴重なお話をありがとうございました。

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