メラミンおよび関連物質の分析(HPLC,GCMS,LCMS)

メラミンおよび関連物質の分析(HPLC,GCMS,LCMS)

 メラミン(melamine)は,下図のように構造の中心にトリアジン環を持つ有機窒素化合物の1種でホルムアルデヒドとともにメラミン樹脂の主原料とされています。

メラミン及び関連物質の構造式

メラミン及び関連物質の構造式

 機器分析において,メラミンのスクリーニング分析や定量分析には,HPLC がよく用いられています(下表参照)。 短時間でメラミンを確実に検出できるHPLCは,高速スクリーニングに最適で,かつ汎用性の高い装置でもあります。 メラミンの定性確認やメラミン関連物質(アンメリン,アンメリド,シアヌル酸等)の一斉分析では GCMS,LCMS などが使われます。
 メラミンおよび関連物質の機器分析例( HPLC-PDA GCMS LCMS )をご紹介します。
(* なお,化合物が同じでも対象となる試料や測定目的により,試験法が厳密に定められている場合があります。 このページは一般的な機器分析例をご紹介します。)

機種による比較

偽陰性:MSの場合,マトリクスの影響によりイオン化阻害をうけ,うまく検出されないことがあります。ラベル化内部標準物質を用いることで補正可能な場合があります。

HPLC-PDA

 HPLC(高速液体クロマトグラフ)は,分析機器の流路に液体を流しておき,試料を入れるとカラムと呼ばれる分離管の中で試料成分が分離され,検出器でその量を測定する装置です。 メラミンは,HPLC-PDAで試料中の夾雑物と分離しながら,迅速に分析できます。 また,PDA検出器 (フォトダイオードアレイ:多波長紫外可視分光光度計ともいわれ,スペクトル情報を取りながら分析ができる)により,夾雑物と重なっていないか確認しながら定量できます。
  超高速HPLCUFLCとPDAを用いたメラミン標準溶液のクロマトグラムを示します。 10μg/Lから100μg/Lの範囲で良好な直線性が得られました。 保持時間再現性,面積再現性についても共に良好でした。 一連の分析終了後には,有機溶媒比率の高い移動相で洗浄を行ってください。

メラミン標準溶液のクロマトグラム

図1 メラミン標準溶液のクロマトグラム

表1 LCでのメラミン分析条件

カラム : Shim-pack XR-ODS
(75mmL.×3.0mmi.d. 2.2μm)
移動相 : A/B=92/8
A:10mmol/L オクタンスルホン酸ナトリウムを含む10mmol/Lりん酸ナトリウム緩衝液(pH2.6)
B:アセトニトリル
流量 : 1.2mL/min
注入量 : 10μL
カラム温度 : 40℃
検出器 : SPD-M20A(Conventional Cell)
検出波長 : 235nm
本分析条件でメラミンと夾雑成分が重なる際は,りん酸緩衝液と有機溶媒の比率を調整して頂くと分離できる可能性があります。 有機溶媒の比率を減らすと,全体的に溶出が遅れます。

●様々な実試料での分析例
 図3,4に,市販の牛乳,小麦粉試料のクロマトグラムを示します。 各実試料に2mg/kg相当になるようメラミンを添加し,図2に示した前処理手順に従い、図1と同様に分析しました。(前処理後試料中のメラミン最終添加濃度は20μg/L)。 前処理は,よりシンプルな方法で行いました。したがってコストを安価に抑えることができます。 本手法により,メラミンを感度よく検出できました。

前処理手順

図2 前処理手順

粉ミルク(メラミン添加)のクロマトグラム

図3 牛乳(メラミン添加)のクロマトグラム

牛乳(メラミン)のクロマトグラム

図4 小麦粉(メラミン添加)のクロマトグラム

 

GCMS

 検出部に質量分析計をおいたGCMS(ガスクロマトグラフ質量分析計)は,化合物やそのフラグメントの質量を測定できるため,本当にそのピークが目的成分なのかどうかを確認する力(定性力)が優れているので,目的化合物のスクリーニングに使われます。 図6,7に,GCMS-QP2010 Plusを用いて測定した牛乳,粉ミルク試料の分析例を示します。 図5の前処理手順に従い,4種のメラミン及び関連物質を実試料(牛乳,粉ミルク)に添加し,内部標準物質としてベンゾグアナミンを添加しTMS(Trimethylsilyl)誘導体化した後,分析しました。

牛乳中のメラミン及び類似成分

図5 前処理手順(本手法は一例です。)

牛乳中のメラミン及び類似成分

図6 牛乳中のメラミン及び類似成分のクロマトグラム

粉ミルク中のメラミン及び類似成分

図7 粉ミルク中のメラミン及び類似成分のクロマトグラム

表2 GCMSによるメラミン関連物質の分析条件

GC条件
カラム : ZB-1(0.32mmI.D.×30mL,膜厚 0.25μm)
カラム温度 : 80℃(1min)-5℃/min-200℃-25℃/min-340℃(12min)
キャリアガス : He
線速度 : 線速度一定モード 55cm/sec(初期圧力50kPa)
気化室温度 : 280℃
注入法 : スプリットレス法
サンプリング時間 : 1min
注入量 : 0.5μL
MS条件
イオン源温度 : 230℃
インタフェース温度 : 320℃
SIM測定 : サンプリングレート 0.2se

LCMS

 近年食品分析分野などで幅広くLCMSが多用されるようになっています。GCMSとの比較で優位な点は,今回のメラミンのように成分を誘導体化することなく直接測定できることだと考えられます。 HPLCとの比較では,特にUV検出法などに比べ,質量分析の選択性は群を抜いており,定性のみならず定量の点でも優位性を発揮しつつあります。 ここでは,LCMSを用いて測定したメラミン分析例について紹介します。 m/z(質量電荷比)127.10でのマスクロマトグラムですが,6.4minにメラミンが良好に検出されています。
 この条件での1- 50 μg/Lの範囲で直線性を確認したところ相関係数0.999以上の良好な直線関係が得られ,面積値再現性も良好でした。

メラミンの分析例

図8 メラミンの分析例

表3 LCMSでのメラミンの分析条件

カラム : Asahipak NH2P-50(2.0mmI.D.×150mmL)
移動相A : 5mmol/L ぎ酸アンモニウム(ぎ酸でpHを3に調整)
移動相B : アセトニトリル
タイムプログラム : 90%B(0-10 min)-20%B(10.01-20 min)-90%B(20.01-35 min)
流量 : 0.2mL/min
注入量 : 1μL
カラム温度 : 40℃
イオン化モード : ESI positive
電圧 : 4.5KV
ネプライザガス流量 : 1.5L/min
ドライガス圧力 : 0.1MPa
CDL温度 : 250℃
ヒートブロック温度 : 200℃
モニターイオン : m/z 127.1

 次に実試料への応用として,市販乳製品に最終濃度20μg/Lになるようにメラミンを添加した模擬試料を用いての分析を行いました。 図9に示した手順に従い,前処理しました。 メラミンのm/zでのシグナルのみ計測していますので,HPLCなどに比べても良好な選択性と感度を有していることがわかります。  

前処理手順

図9 前処理手順

メラミンを添加した乳製品の分析例

図10 メラミンを添加した乳製品の分析例(最終濃度20μg/Lになるように添加)

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