5G時代の到来とともに,基地局のセラミックフィルターと
導電性銀ペースト技術の研究と生産を支援する当社技術
背景
5G技術は第5世代モバイル通信技術の略称であり,4G技術に比べ,高い伝送速度,低い遅延時間,超大容量などの特長を有します。2019〜2020年は各国での5Gの商用化元年で,初期の5G向けの投資は基地局の建設に集中します。5Gは信号周波数帯が高く障害物に弱く,伝送距離が短いうえにカバー範囲が狭いため,4Gよりも5Gの基地局数がはるかに多くなります。例えば,中国政府のインフラ整備政策「新基建」では3大通信事業者が牽引し,2020年には国内で5Gの基地局を70万局以上設置しました。
5G基地局アンテナの設計は集積化され,信号処理に用いられる無線周波数部品は大幅に変更され,アンテナフィルタが増加しました。そのため,重量が軽く,体積が小さいセラミック誘電体フィルタが採用され,次第に既存のメタルキャビティフィルタを代替していくと考えらます。
セラミック誘電体フィルターの製造プロセス:
業界が直面する技術的な課題と要件
セラミックパウダー調整 | 金属膜化工程 | 組立調整 |
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・不純物が少ない | ・スプレーの均一性 | ・完成品の構造と均質性 |
・欠陥が少ない。 | ・厚み制御 | |
・均一な粒度分布 | ・導電性銀ペーストの品質 |
生産検査をサポート
島津製作所は多くの特性評価・試験装置をラインアップに揃え,セラミックフィルタの生産プロセスを研究するのに必要な方法を提供可能です。
生産プロセスにおける要求/項目 | 分析項目 | 分析・試験方法 |
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結晶粉体の均一性 | 結晶相の同定 | X線回折(XRD) |
粉体粒径の制御及び分析 | 流動分布測定 | 粒子径分布測定 |
主成分元素分析,主成分元素の含有量分析 | 元素分析 | 波長分散型蛍光X線(WDXRF) |
微量元素分析,微量/不純物分析 | 誘導結合プラズマ発光分光分析/原子吸光分光光度計(ICP/AA) | |
合成粉末の構造に対する添加剤の影響の熱力学的分析 | 熱分析 | 熱分析(TA) |
圧電セラミックス材料の曲げ試験 | 機械的特性の計測 | 材料試験 |
圧電セラミックス材料の硬度試験 | 硬さ試験 | |
セラミックス部材内部及び仕上げ金属めっき層表面の隙間,割れ目,気孔観測 | 内部構造解析 | X線CT |
アプリケーション:
現在,製造メーカーが抱えている問題の一つに,完成品の電気的性能が要件を満たしていないことがあります。その原因の多くは,セラミック部品の焼結や金属化品の表面が不均一であること,内部に不純物や空隙などの欠陥があることです。島津X線CTシステムは,セラミック・フィルタの異物・欠陥を容易に確認できます。

マイクロフォーカスX線CTシステム
inspeXio SMX-225CT FPD Plus

No.1: セラミックフィルター
No.2: 表面を金属化したセラミックフィルター

No.1 ワーク
(白点:異物)

No.2 ワーク
金属化工程の導電銀ペーストの研究・生産工程における試験方法
金属化工程で必要とされる導電性銀ペーストは,その均一性を確保するために,銀ペーストの配合,調製プロセス,および製造も研究,管理する必要があります。
制御項目 | 検出要件 | 試験方法 |
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製品品質の物理的制御 | 固形含量 | 乾燥重量 |
粘度 | 回転粘度測定 | |
Ag/Al/Cuなどの金属粉末 | 不純物元素分析 | 誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP) |
粒径分布(<500 nm) | 粒度分布測定 | |
ガラス粉などのバインダー | ガラス粉末のガラス化温度と熱重量曲線が電子スラリーの導電性能に対する影響 | 热分析(DSC,DTG) |
バインダーの結晶化度 | X線回折XRD | |
ガラス粉末の主成分元素分析 | 蛍光X線分析 | |
粒径分布(1-10 μm) | 粒度分布測定 | |
有機担体 | 溶媒純度およびその他の低沸点有機添加物試験 | ガスクロマトグラフィー(GC-FID) |
調合技術の改善-作用メカニズムの研究 | 機能充填材とバインダーの焼結メカニズムに関する研究 | X線光電子分光分析(XPS) |
紫外可視近赤外分光光度計(UV-Vis) | ||
フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR) |