無機系抗菌剤の分析

清潔指向の高まりに伴い,日用品や家電製品や繊維などの加工製品だけでなく,化粧品や医薬部外品の添加物などにも抗菌処理が施されるようになってきています。無機系抗菌剤には,Ag+やCu2+,Zn2+などの抗菌イオンの薬剤をゼオライトやリン酸塩化合物 などの担体に固定させたものと,酸化チタン(TiO2)の光触媒反応 を用いたものがあります。
ここでは,電子線マイクロアナライザ EPMA(EPMA-8050G)を使用した抗菌ジェルに含まれる酸化亜鉛を担持したゼオライトと,抗菌フィルターに使用されているアパタイト系抗菌剤の分析例をご紹介します。

担持された金属元素の分布を可視化

高い空間分解能をもつEPMA-8050Gを用いることで,無機系抗菌剤を高分解能で観察し表面の元素を高感度にマッピングできます。無機系抗菌剤は,担体の種類に伴い固定する薬剤である抗菌イオンの違いがあり,抗菌剤の効果と用途が異なるので,抗菌イオンのサイズや固溶量を分布として捉えて評価することができます。また,抗菌メカニズムについては解明されていない部分があり,その研究にEPMAが利用されています。

ゼオライトに担持した酸化亜鉛の微粒子

ゼオライトに担持した酸化亜鉛の微粒子

 
アパタイト系抗菌剤のマッピング分析

アパタイト系抗菌剤のマッピング分析

関連アプリケーション

電子線マイクロアナライザ EPMA-8050G

非破壊的な分析法として細く絞った電子線を試料に照射し,微小部における元素組成を明らかにします。試料のミクロン領域を高感度で元素分析する装置です。サブミクロンオーダーの分析と同時にSEM像を確認し,形状検査にも利用できます。異物等があれば,直ちに原因解析を行なえます。

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