摩擦抵抗の低減を目指した新しい取り組み,添加剤吸着層の可視化に成功‼

潤滑油

潤滑油は,基油と添加剤から成り,潤滑・防錆・冷却を目的として使用されます。理想的な摺動の実現には,潤滑界面における潤滑油の働きを制御することが鍵となります。しかし,その界面を潤滑油中で分析することは困難でした。周波数変調原子間力顕微鏡FM-AFM(製品名:SPM-8100FM)は,わずか500µLの潤滑油で,金属表面に接する潤滑油を分子分解能で観察できます。潤滑界面における添加剤分子の挙動を捉えることで,潤滑油の設計に理論的根拠を与え,摩擦抵抗の低減につながる開発を加速する新しい手法として期待されています。

内容

PAO分子が酸化鉄上に吸着している様子を確認

PAO分子が酸化鉄上に吸着している様子を確認

PAOのみでは見られなかった水色の層を確認

PAOのみでは見られなかった水色の層を確認
オレイン酸が吸着している!

潤滑油提供:JXTGエネルギー株式会社 辻本鉄平様

FM-AFMの特長

FM-AFMでは,探針と試料の間に働く相互作用力を周波数の変化としてとらえることにより,従来のAFMに比べて微小な力を検出することができます。探針と試料の距離(Z方向)を変えながら,X方向にスキャンすることで,液体の構造をイメージングすることができます。画像では明るい部分が大きな力を受けていることを表しています。

FM-AFMの特長

その他の観察事例

水分子の層構造観察

水分子の層構造観察

マイカ表面

マイカ表面に3層の水和構造が形成
されている様子が可視化されています。

ここがポイント!

  1. 周波数変調(FM)方式により,10pNの微小な力を検出できる
  2. 潤滑油中で添加剤分子の金属表面への吸着を評価できる
  3. 潤滑油中で金属表面近傍の液体潤滑油の構造を評価できる